『春一番』
2023.03.03
三月になりました。 三月一日には昨年より4日早い「春一番」が吹いたというニュースがありました。「春一番」を理科的に説明すると、日本海側に低気圧が発達していて、その低気圧に向かって南から吹く強い風ということになります。南からの風ですので暖かい空気を伴ってやってきますが、春一番の後は冷たい北風に変わり、気温が一気に下がることが多くあります。俗にいう「寒の戻り」という現象で、この時期の気温の変化は「三寒四温」という言葉でも表されることが多くあります。
「春一番」「寒の戻り」「三寒四温」……日本には気候を表す言葉がたくさんあります。四季があり、その時期ごとの気候の特徴がはっきりしていることが一つの理由だと思うのですが、その背景には「日本語の豊かさ」があるように思っています。
気候の表現を考えていて、思い出したことがあります。2月初旬の寒い日の朝、「今日は風が冷たく、真冬以上の寒さだね」という会話を聞きました。皆様はこの表現をどのように感じられるでしょうか。
私が気になったのは「真冬以上の寒さ」という表現です。言いたいことはわかるのですが、「寒さ」という気温の低さを表す表現に対して「以上」という表現を使っている点に、小さな違和感を覚えたのです。「真冬以下の寒さ」と言えば伝わるようにも思いますけれど、「以下」と言ってしまうと、あまり強い「寒さ」ではないように思えてきたりもします。そう考えると、「今日は風が冷たく、真冬よりも寒く感じられるね」という表現が適切なのかなと思えてきたのですが……。
そんなことをつらつらと考えながら駅までの道を歩いていて、今度は算数の講師の頭に切り替わって、「あれ?」ということになってしまいました。上記のように、国語的に考えると「真冬以上の寒さ」≒「真冬よりも寒い」ということになるのですが、この表現は算数的に考えると、まったく違うものになるのです。早稲田アカデミーの現行のカリキュラムでは、小学3年生の二学期の第1回(9月)に出てくる「およその数」という単元で、「以上・以下」「より大きい・より小さい(未満)」という表現を学習します。「15以上」と「15より大きい」は「15」を含むか、含まないかで違うことになるわけです。ここで考えれば「真冬」を含むか、含まないかという違いになってしまいます。
そこまで考えていくと、今度は「真冬」というのが何を指すのかが気になり始めました。駅についてスマホで「真冬」という気象用語を検索してみました。そこでわかったこととして、「気象庁は真冬という言葉を定義していない」ということだったのです。天気予報でわかりやすい表現として「真冬」という言葉を使っているようですが、年間で一番気温が低い(=寒い)時期を真冬と呼んでいるそうです。だいたい「1月下旬から2月初旬」のころの寒さを「真冬の寒さ」と呼んでいるようです。この表現を聞いたのは2月初旬でしたので、そういう意味では「真冬の真っただ中」ということにもなるわけです。そんなことを考えているうちに、校舎に到着しました。
最近の朝のニュースでは「桜の開花時期」について話題になっているようですね。
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