『50年前に日本にやってきたものは……?』
2022.11.11
「50年前に初めて日本にやってきたものは?」 小6クラスでこの質問をしてみました。正解はパンダです。もちろん単なるクイズではありません。来年2月の受験に向けた「時事問題」の一環として、「日中国交正常化50周年」に触れるための導入です。さらに「50年」といえば、2022年は「沖縄返還50周年」でもあります。
さらに、2022年の100年前は1922年ですが、この年の出来事で中学受験問題に取り上げられそうなものはありませんでした。しかし、150年前の1872年は新橋から横浜の間に、日本初の「鉄道」が開業した年です。JRの駅にも「鉄道開業150周年」というポスターが貼られていますので、ご覧になられた方も多いのではないでしょうか。「時事問題」として取りあげられそうなポイントだと思っています。
最近の中学受験社会の歴史では、近現代史からの出題割合が多くなっています。入試前後の2年間について「50年前」「100年前」「150年前」に起こった出来事などはチェックしておいてもよいと思います。
2023年(現在の6年生が受験する年、現5年生の入試にも影響する可能性あり) ・50年前(1973年)→第四次中東戦争に端を発した「オイルショック」 ・100年前(1923年)→関東大震災 ・150年前(1873年)→ウィーン万博(日本が初参加・2025大阪万博との関連)
2024年(現在の5年生が受験する年、現4年生の入試にも影響する可能性あり) ・50年前(1974年)→(特になし) ・100年前(1924年)→第1回冬季オリンピック開催(フランス・シャモニー/日本は関東大震災の影響で選手派遣せず) ・150年前(1874年)→北海道屯田兵制度、読売新聞創刊(それまでの大衆紙とは異なる、現在の新聞の原型)
2025年(現在の4年生が受験する年、現3年生の入試にも影響する可能性あり) ・50年前(1975年)→ベトナム戦争終結、沖縄国際海洋博覧会 ・100年前(1925年)→(特になし) ・150年前(1875年)→東京気象台(のちの気象庁)設置
少し調べてみました。現在の経済状況とからめた出題をするならば「オイルショック」、東日本大震災以降に増えている災害関連の出題で考えると「関東大震災」、2025年に予定されている「大阪万博」との関連で「ウィーン万博」や「沖縄海洋博」などは問題がつくりやすそうな感じです。時事問題でよく出題される「オリンピック」関連については、2030年の冬期オリンピックに札幌市が立候補を検討しており、開催地決定が2023年の秋に予定されているため、そこで開催地として決定されれば、第1回冬季オリンピックから100年後ということもありますので、2024年には出題される可能性が高くなりそうです。
歴史上の出来事については、社会での出題が多くありますが、ときに国語の出典などでも有名作家の生誕〇年・没後〇年が関係してくる場合があります。2009年は太宰治の生誕100年だったのですが、翌年の2010年の開成中学の国語で「思い出」が出題されていたのは、無関係ではないように感じています。とは言っても、国語の出典(出題文)を予想するのは、社会・理科の時事問題を考えるのよりも、数段難しいことなのですが……。
多くの中学校では、翌年の入試問題について、前年の夏くらいから作成にとりかかるそうです。ちょうどその時期に話題になっていることがあれば、そこから問題をつくることを考えられる方も多いでしょう。私も電車の中で「鉄道開業150年」のポスターを見ていて、「入試問題にするならば、どんな問題かな」と考えたりしています。
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