東京都高校の授業料無償化
東京都は2023年12月5日、都内在住のすべての世帯に対して、私立高校の授業料を2024年度以降、実質無償化する方針であることを、第4回都議会定例会の冒頭で行った小池知事の所信表明において発表しました。今回の所得制限の撤廃で、私立高校では新たに約9万9000人が追加対象になるということです。もちろん、この施策は授業料の無償化であり、私立高校に進学すると、制服代、修学旅行代、各種セミナー代といった負担は残る形となるので、今回の施策により、実際、都立志望だった家庭がどの程度私立志望に変えていくのか、その実質的な数の動きは予測しがたいものがあります。そもそも、前回の世帯年収制限910万円を考えてみても、追加された層はこれまでもある程度、自由に子どもの高校選びをしてきたことがうかがわれ、入試の場に与えるインパクトはほぼないという見方もできます。
いずれにしても、都立高校か私立高校かという選択の、比較検討の指標のひとつが緩和されたというだけのことであり、逆に、別の指標を高校選びの指標の上位に位置づけるべきトレンドが生まれつつある、と言えるのかもしれません。前回の施策以降、従来の都立高校志望生がどの程度私立高校進学に流れたのかは分かりませんが、実際にそうした家庭は、都立高校と私立高校の授業料という指標をカッコに括って、天秤に乗せて結論を出したことでしょう。大学の進学実績なのか、学校の教育理念なのか。子どもの未来を思い描く、別の指標を一義に置いて下した結論です。それはよく考えてみれば当たり前のことなのかもしれませんが、これまでは経済的な事情による壁がそれに立ちはだかっていたのも事実でしょう。
子どもの未来、将来を見据えて、どのような高校入試にも耐えうる準備をしておくことが、大切な世の中になりつつあると言えるのかもしれません。
東京都の公立高校の入試制度
2025年度入学者選抜日程
(令和7年度高等学校全日制)
推薦に基づく選抜
1/9(木)~16(木) |
出願受付期間 |
---|---|
1/26(日)・27(月) |
入学者選抜 |
1/31(金) |
合格発表 |
学力検査に基づく選抜
(第一次募集・分割前期募集)
1/30(木)~2/5(水) |
出願受付期間 |
---|---|
2/21(金) |
入学者選抜 |
3/3(月) |
合格発表 |
- 学力検査に基づく選抜では、願書受付締切後の出願倍率等を受け、志望校の変更を行うことができます。
- 2024年度(令和6年度)入試では、2/13(火)に願書取り下げ、2/14(水)に再提出でした。
選抜方法
推薦入試
都立高校の推薦入試は一般推薦入試と特別推薦入試があり、予め決められた募集人員のみを成績の順に決定し合格とします。
推薦入試では内申が重視されますが、都立高校の推薦枠は例えば普通科だと概ね定員の20%で、実は一般的な私立高校(50%)よりもはるかに狭き門です(推薦募集枠は全募集定員の約10~40%)。これは、都立高校には「内申は高いが、学力がその高校に見合わない生徒の割合は少ない」ということを表しています。さらに、全ての都立高校推薦入試でさまざまに工夫された小論文や作文などが併用され、内申だけでは合格しづらい仕組みになっています。特に上位校においては難解な小論文が出題され、その比重は大きくなってきています。
一般推薦の場合 |
推薦入試における一般推薦は、調査書、面接、集団討論、小論文または作文・実技検査などをそれぞれ得点化して、高校側が提出を求める自己PRカードも参考にしながら、総合的に判断して行います。(2021~2023年度においては、集団討論は実施無しとなっています。2024年度においては、一部の高校で実施しました。) |
---|
学力検査に基づく入試
(第一次募集・分割前期募集)
高いレベルの内申点が受検資格であるともいえる推薦入試に対し、都立上位校の一般入試では、学力の高い受検生に広く門戸が開かれています。
まず、一般枠は概ね80%あり、一般的な私立高校の1.6倍にもなります。さらに自校作成問題実施高校では平均点が低く抑えられた難問が出題され、学力が大きく合格を左右する仕組みになっています。このように、都立上位校入試は、私立難関校と同程度の学力が求められます。都立高校へ進学後、上位大学に合格していくにはさらに高い学力が必要になります。
- 調査書に記載
学力検査の成績 |
大半の学校は5科目(英語・数学・国語・理科・社会)で実施します。1科目100点満点で、5科目500点満点となります。一部には3科目(英語・数学・国語)で実施する学校、傾斜配点を行う学校もあります。 |
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調査書 |
中3の5段階評定を用います。学力検査がある科目(英語・数学・国語・理科・社会)は評定をそのまま、学力検査がない科目(音楽・技術家庭・体育・美術)は評定を2倍して足し合わせます。これにより換算内申は65点満点となります。 |
ESAT-J(スピーキングテスト)の成績 |
A~Fの6段階で提出された評価を20点満点の点数として取り扱います。2023年度から全学年で実施されますが、都立高校では、中学3年生のESAT-J結果を活用します。 |
総合得点 |
学力検査得点を700点に、調査書点を300点に換算した合計1,000点満点で合否を決定していましたが、2023年度より、スピーキングテストの成績を20点満点に換算したものを加算することとなり、総合得点が1,020点満点に変わりました。 |
都立高校の平均受検倍率は約1.29倍ですが、青山の1.81倍や戸山の1.54倍など上位校は、やや高くなります。2024年度の不受検率(出願したが受検しなかった割合)は平均6.8%です。
スピーキングテスト
東京都立高等学校入学者選抜において、2023年度入学者選抜から中学校英語スピーキングテスト(ESAT-J)の結果を活用し、英語4技能のうち「話すこと」の能力をみることとしました。中学3年生(新高校1年生)が11月末に受験し、難度は英検®3級・準2級レベルで、その場で話せる英語力が問われました。
Part・問題概要/1題あたりの制限時間
A 英文読み上げ 2題 |
準備30秒・解答30秒 |
---|---|
B 質問応答・意図伝達 5題 |
準備10秒・解答15秒 |
C ストーリーを伝える 1題 |
準備30秒・解答40秒 |
D 自分の意見を述べる 1題 |
準備60秒・解答40秒 |
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