『気持ちをとらえる~心情把握の答案作成方法~』
2011.12.07
4年生の予習シリーズ下巻第11回から第13回では、「こころの動きを追う」というテーマについて学習します。物語の登場人物の心情を捉えるという内容で、入試においても非常に多く出題されるタイプの問題です。今回は、この設問内容について書かせていただきます。
「先生からテストを返されたAくんは机の上に顔を伏せて泣き始めました、どうしてでしょう?」という問いかけをお子様にしてみてください。
多くのお子様は「テストの点数が悪かったから」という答えになるものと思われます。ところが、この問題が入試問題であったとしたら、この答案ではマルにはなりません。この設問スタイルは、「行動・表情の理由を問う設問パターン」と呼ばれるもので、この設問に対しては「気持ち」を含めて答えることが必要になるからです。
「行動や表情は原因となる事実によって作られた気持ちの表れである」という考え方は、小学校3年生から4年生のときに身につけておきたいもののひとつです。私の授業では、「原因⇒気持ち⇒行動・表情」というひとつの公式のような形で指導しています。上記の問いかけの中で、この流れを身につけているかどうかをチェックしてみてください。
さて、「テストの点数が悪かったから」という答えになった場合、私は「じゃあ、そのときの気持ちを考えてみよう」という形で先に進めていきます。ご家庭で行う場合、小4以上のお子様であれば『「テストの点数が悪かったので●●●から」とまとめてみよう』とアドバイスしていただいてもかまいません。ここでポイントになるのは気持ちを表わすことばです。多くのお子様は、「悲しい」ということばを入れると思います。「泣く=悲しい」と短絡的につなげてしまうためであると思われますが、この問いかけでは、「悲しい」ということばは適切ではありません。「悲しい」ということばは、「大きな喪失感が背景にあり、取り返しのつかないことを思いつづけている」ような状態を指すことばです。例えていうならば、可愛がっていたペットが死んでしまった場合や、大切にしていたモノを壊してしまった場合などに使うべきなのです。しかし、最近では「よくない気持ち」を表わすときには、すべて「悲しい」で済ませてしまうことも多いようです。
この問いかけでは点数の悪かった背景が明確ではありませんので限定することはできませんが、「あんなにがんばったのに悔しい」とか「もっと頑張って準備しておかなかった自分が情けない」といったような気持ちを表わせるように考えてほしいところです。
小学校5年生以上になると、上記のような設問に正解していくためには、「気持ちを表わすことば」を自分の語彙として使いこなせるように貯め込んでいくことも必要になります。たとえば、「怒っている気持ち」というような解答を見るケースがあります。厳密に言えば「怒っている」は表情や会話など全般の様子を表わすことばで内面の気持ちとしては弱い解答です。難関中学を目指すためには、「腹立たしい」ということばを使いこなせるようになっておく必要があるわけです。
正解は次回のブログで発表します。
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