『「試すテスト」ではなく「定着させるためのテスト」』
2012.01.16
先週末、早稲田アカデミー各校舎にて入塾説明会が行われました。その資料内で「カリキュラムテストの必要性」について、2日連続で公開すると予告させていただきました。第1日目のテーマは、『「試すテスト」ではなく「定着させるためのテスト」』です。
なぜ中学受験のカリキュラムでは、毎週テストが行われるのでしょうか。逆に高校受験や大学受験では、なぜ行われないのでしょうか。
その答えは、中学受験に向けてのカリキュラムそのものにあります。学校の学習カリキュラムは「ミニマムスタンダード」と言われているように、その年齢のお子様であれば誰もが理解できるレベルでカリキュラムが組まれています。しかし、中学入試を目指すカリキュラムはそうではありません。その段階の精神的成長度合いによっては、理解し、かつ習得することが難しい内容まで含まれているのです。当然「積み残し」をしてしまうことがあります。しかし、心配はいりません。積み残してしまった内容は、日を置いて、また扱うようにカリキュラムそのものが組まれているからです。
積み残すことがわかっている内容をカリキュラムに組み入れてしまうことに、疑問を抱かれる方がいらっしゃるかもしれません。しかし、これは次に扱うときに、スムーズに理解できるようにしておくためなのです。積み残しがあること自体、極めて正常な状態であるとご理解ください。学んだ段階での精神的成長の度合いが足りていないために、定着しきれなかったわけですから、次に学ぶまでに成長していれば、最初は理解できていなくても、次に学ぶときまでには理解できるようになっているわけです。
ただ、そのためには理解できなかった内容でも、ある程度は記憶しておくことが必要です。せっかく扱ったのにきれいさっぱりと忘れてしまっていたのでは、成長してもその内容を理解し、できるようにはならないはずです。その記憶を行うのが、カリキュラムテストなのです。その点において小学生のカリキュラムテスト(週テスト)は「定着させるためのテスト」と言われています。
できなかった問題をしっかりと自分の中に蓄積し、自分の中で温めておくためにテストがある、と言い換えても良いかもしれません。
この「定着させる」という目的のテストは、中学受験のためにしか行われません。中学生以上になると「試す」目的のテストだけが行われるようになります。そして、大人は自分が中学・高校・大学時代に受けた「試すテスト」のイメージを持ってしまっています。テストは「試す」ために行われると思ってしまうと、どうしても結果に目が行きがちです。そして、結果の良し悪しで毎週の学習が試されていると子供が感じると、テストそのものを苦痛に思えてくることもあります。
カリキュラムテストは、「受ける」ことで成績向上につなげるものですから、結果では評価をせずに、がんばって受験したことを評価してあげてください。
明日は、『「わかる」を「できる」にするトレーニング』についてお伝えいたします。
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