『書くことが読むことにつながる』
2012.09.12
前回の記事で「読解力を高める必要」について書かせていただき、今後の記事でその方法をご紹介すると予告いたしました。今回はそのうちのひとつについて書かせていただきます。
早稲田アカデミーでは中学校3年生の二学期に『作文コース』というコースを設置しています。高校入試で作文や小論文の出題が増えてきたことに伴って作られたコースなのですが、私も設置当初からカリキュラムや指導内容について参画してきました。その中で改めて認識したことが、『自分で書くことができなければ、他人の書いた文章を読むことができない』ということでした。稚拙な文章しか書けなければ、やはりレベルの高い文章をしっかりと読んで理解することはできないのです。概ね自分の書ける文章の一段階上のレベルの文章まで理解ではないでしょうか。たとえば、中学生レベルの文章が書けるのであれば、高校生レベルの文章まで読みこなせる...というイメージです。そして、一段高いレベルの文章を読み込んでいくことによって、そのレベルの文章が書けるようになり、次にはもう一段階高いレベルの文章が読めるようになるわけです。
当たり前のことですが、「書く」ことと「読む」ことの間には緊密な相関関係があります。一つひとつの言葉の使い方や語彙的な知識もそうですが、ひとつの文の中でのつながり(主語述語のつながりや係り受けetc.)や文脈全体の構成...文章を書くためにはいろいろな形の思考が働いています。それがある一定レベルでできるようになることによって、他の人間が同じレベルで書いた文章が読めるようになるわけです。そう考えると「文章を書く」というトレーニングは非常に高いレベルの学習だとご理解いただけると思います。
さて、では小3・小4の時点ではどのように「文章を書くトレーニング」をしていけばよいでしょうか。実はこの時点では、「書く」ことに対する段階は、お子様によって大きな差があります。テストなどの成績がよいお子様が、文章を書くことがうまいわけでは決してありません。小4までのテストは「覚える」ことによってある程度の得点をとることができてしまいます。そのため自分なりの覚える方法を身に着けていれば好成績を残すことができるのです。しかし「書く」ということは、前述しましたように、高いレベルの思考過程を身に着けることですので、なかなか結果にはつながりませんし、時間もかかるものです。ですから、どんな段階のお子様にも言えることですが、「書く」トレーニングは継続をすることが絶対に必要なのです。「日記」でもかまいませんし「読書ノート」でもかまいませんが、3日坊主にならないように、無理なく継続できるようにすることが必要です。もちろん毎日である必要はありませんし、長い文章を書く必要もありません。お子様自身が負担に感じてしまえば、逆効果にもなりかねませんので、その点はご留意ください。
ひとつのアイディアをご紹介します。『読書感想ノート』の応用といいますか、延長として『なんでも感想ノート』というのはいかがでしょうか。『日記』だと、まずその日にあったことを思い出して、書く題材を決めなければなりませんから、その時点で面倒に感じてしまうお子様も多いと思います。毎日の生活の中では、なかなか書くことがなくなり、同じような日記になってしまうことも多いでしょう。その題材選びを楽にするのが、『なんでも感想ノート』です。なんでもかまわないので、それについての感想を書けばよいのです。場合によってはお父様、お母様が題材を選定してあげてもかまいません。
見たテレビ番組の感想、晩ご飯のおかずについての感想、習い事の感想...実はそう考えると書く事柄は毎日たくさんあるわけです。そして、このノートがうまく活用されていけば、お子様は毎日の生活の中で『そうだ!これをノートに書こう!』と思うようにもなってきます。注意力や好奇心にもつながり、文章を書く力だけではなく、そういった部分にも好影響がでてくるはずです。
前回の記事で少し触れさせていただいた私の足の怪我の件ですが、ご心配いただきメッセージなどをいただいた皆様、ありがとうございました。正直、私自身が考えていたよりも重症のようで、まだ左足が全く使えない状態です。車椅子の長期レンタルをしたので、それを使って少しずつ移動はできるようにはなっているのですが、普通の生活に戻るまではまだまだ時間がかかりそうです。来週末は市川校で保護者会などもありますので、なんとかそれまでにはある程度、普通に戻れるようにと思ってはいるのですが...。どうも骨折などよりも治るまでの時間がかかる症状のようです。
正解できましたでしょうか?次回のブログで、四つ葉のクイズ其の46を出題する予定です。お楽しみに。
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- 2017.07.05 『夏をなめるな。』
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- 2017.06.28 「国語の学習に関して② ~読解力とは~」