『ノートの取り方で理解度が分かる』
2012.10.05
今回は、授業中のノートの取り方について書かせていただきます。早稲田アカデミーの小学生の授業では、板書を写す指示は原則として講師が出すことになっています。高校生くらいになれば、先生の話を聞きながら、メモをとったり、板書を写したりすることもできるのですが、小学生にとってはそれらを同時に行うのはなかなか難しいことなのです。多くの場合、どちらかが疎かになってしまいます。ですから、講師が解説をしている間は鉛筆を置かせて、しっかりと話を聞くことに集中させます。解説が終わったら、「はい!それでは写しなさい」と指示を出すわけです。話の内容をもう一度なぞりながら板書を写すことで、定着が図れるのです。
余談ですが、こういった早稲田アカデミーの授業技術や指導テクニックは全国的にも評価をいただいていて、いろいろな学校や塾で教員研修なども実施させていただいています。
さて、実はこの板書を写しているときの様子を見て、私たち講師は、生徒の理解度や状況を確認しているのです。当たり前の話ですが、早稲田アカデミーの授業に初めて参加した生徒は板書を写すのに時間がかかります。慣れていないので作業スピードが遅いというのもあるのですが、それよりも大きな要因は、頭を上げる回数が多いからなのです。
ノートに書いている時、もちろん生徒たちは下を向いています。そして、次に書くことを確認するために頭を上げてホワイトボードを見ます。時には、一文字一文字確認しながら書く生徒もいます。そうなってくると、頭を上げる回数は必然的に多くなり、時間も多くかかってしまいます。
このように生徒が板書をノートに写している様子を見ることで、解説した内容の定着度合いがある程度分かるのです。しっかりと理解している生徒は、頭を上げる回数も少なく、さらに自分がどこまで書いたかを把握しているため、ホワイトボードを見ている時間も短くなります。一方で、理解が不十分な生徒は、「内容」を写しているというよりも、むしろ「文字」を写しているような状態なため、自分がどこまで書いたかをしっかりと把握できていないため、ホワイトボードを見ながら目がキョロキョロしたりしてしまいます。国語の板書を写す時もそうですが、算数の式を写す時などは、その傾向がより顕著に現れます。
ご家庭でも、この方法を使ってお子様の理解度を確認することができます。お子様の算数の質問に対して、保護者の方が紙に式を書きながら解説をします。その解説をお子様がどのようにノートに書き写すかを確認するのです。理解できているか心配になられた場合は、数日後、同じ問題をお子様に解かせてみるとよいでしょう。
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