四つ葉cafe 福田貴一 中学受験をお考えの小学生3・4年生のお子様をお持ちの保護者の方のためのブログ

『全体を見るという考え方①』

2012.10.10

中学入試で出題される問題は、小学校の教科書に載っていることだけであるのが原則です。誤解を恐れずに言えば、小学校の学習指導要領の範囲を逸脱する問題は出題されないわけです。いくつかの例外(理科・社会の知識など)は毎年あるのですが、実はその原則は概ね守られています。しかし、ご承知の通り、小学校の授業と教科書だけでの学習では中学入試の問題が解けるようには絶対になりません。では、中学入試の問題を解くために、進学塾では何を学んでいるのでしょうか。

実は、小学校での学習と大きく異なるのは「思考方法」の学習なのです。「知識」の部分については学校で学ぶことと大きな違いはありません。例えば、中学校で学習する数学の「方程式」を先取りして教えているわけではないのです。たしかに、「方程式」を理解し使いこなすことができれば解けてしまう算数の問題は多くあります。「つるかめ算」も「旅人算」も「ニュートン算」も、連立方程式までの知識があれば、解けてしまうでしょう。しかし、それでは「算数としての思考法」を学習したことにならないのです。

余談ですが、最近の算数の入試問題には数学的には解きづらいものも多く出題されています。方程式を立式することそのものが難しいものも出てきているのです。書店に並んでいる問題集の模範解答や解説の中にも、数学的に解こうとして四苦八苦しているものをよく見かけます。

保護者会などで、上記のような話をすると、『どのような思考方法を学習しているのですか』、というご質問いただくことがあります。どの参考書を見ても、そこまでのことは書かれていません。国語であれば文章パターン別の読み取り方、算数であれば解き方までは載っているのですが、その根底にどのような「思考方法」を基盤としているのかについては触れられていません。ですから、保護者の皆様がそのような疑問をお持ちになるのは当然のことでしょう。学校の教科書には、同じ出版社が発行している教師向けの『学習指導書』が必ずついています。もし、予習シリーズに同じようなものがあれば、ご家庭でお子様をご指導される際に非常に役立つと思うのですが...。

早稲田アカデミーでは、各科目の指導研修を受けた講師向けに単元回ごとの指導案を作成しています。ですから、いま学習している単元が、どのような思考方法の学習に結びつき、将来的にはどのような問題にたどり着くのかということに関しては、直接担当の講師までご相談いただくようにしてください。

さて、その「思考方法」の中で、非常に大切なものの一つに『全体を見る』という考え方、頭の働かせ方があります。次回の記事では、その内容に関して詳しく書かせていただきたいと思います。

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