『空が高い...』
2012.11.07
秋は「空が高く」感じると言われることがあります。
先日の授業で市川校の小4の生徒たちに、『秋の空が高いのは知っている?』と聞いてみたのですが、残念ながら、ちょっと不思議そうな顔をされてしまいました。
『空はいつでも高いじゃん...』
『夏とあんまり変らないよ...』
なんていう感じの返答もあったのですが、『そんなことないよ、ちゃんと晴れた日に空を見てごらん』という話をしました。
ここからは理科の話になるのですが、秋に空が高く感じられるのにはいくつかの理由があるそうです。ひとつには空気の中の水蒸気が少なく、空気が澄んでいるため、空の青さが際立って濃く見えるからだそうです。もうひとつは夏と比べると、上昇気流が弱くなるため、入道雲のように地面から近い雲ではなく、空の高いところの雲が多くなるからとのことでした。理科の単元でいうと地学分野にあたり、早稲田アカデミーでは小学校5年生で詳しく学習する内容です。
実は中学校の入学試験問題でも、このような身近なことがらが問われることがあります。雲の話で思いだすのは、千葉県の最難関私立中とされる渋谷教育学園幕張中学校の問題です。天気予報に関しての文章があり、一般に「きれいな夕焼けだと次の日は晴れやすい」というのがなぜかを答えさせる問題が出題されたことがあります。簡単に解説をすると、夕焼けが見えるということは、日が沈む方角である西の空が晴れているということです。日本の天気は、偏西風などの影響で西から東へ移っていきますので、西の空に雲がない次の日は晴れやすいということになるのです。面白いのは、渋谷教育学園幕張中学校では、この設問が「社会」の中で出題されていたことです。『自調自考の力を伸ばす』という教育目標を持っている学校らしい出題だと思います。
話をもとに戻しましょう。「空が高い」のような国語的な表現の中には、自分自身が実際に感じていなければなかなかわからないことが多くあります。言われてみて『たしかにそうだな』と思えるかどうかです。そのために普段からそういった感性を磨いておく必要があるのです。テキストとノートを使った学習だけではなく、毎日の生活の中からもたくさん「学ぶ」ことができるわけです。
「空が高い」という話は、その先『柿食へば鐘が鳴るなり法隆寺』という正岡子規の有名な俳句の話に発展させてみました。この句が使われている小4の学校教科書もあるようで、ほとんどの生徒が知っていたのですが、この句も秋の澄んだ空気を感じさせる句であるという話をしていったわけです。赤い柿の実と青く澄んだ空の対比、鐘の音の澄んだ余韻...。さわやかな秋の一日をイメージできるように進めていきました。
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