『子どもの可能性』
2013.03.15
先日行われた『基礎から学べる中学入試報告会』で最後にお話しした言葉について、今回は書かせていただきます。『大切なのは、子どもの可能性を奪わないこと』という言葉で、会を締めくくらせていただきました。「子どもの可能性を伸ばす・広げる」という言葉を耳にすることがあるのですが、「子どもの可能性」は無限に広がっていると私は思っています。生まれたばかりの子どもは、将来、医者や弁護士や宇宙飛行士、そして、スポーツ選手や芸術家にも、何にだってなれる可能性が残っているわけです。しかし、成長していくうちに、いくつかの可能性が消えていくか、薄くなってしまうことがあります。親が子どもに与える環境の中で、知らず知らずのうちに、その芽を摘んでしまうようなことがあるかもしれません。
お子様の適性を見極め、その長所を伸ばし、進むべき道をある程度定めて導いてあげることも、親や周囲の大人の役割として挙げられるでしょう。しかし、まずはすべての可能性を考えて、なるべくその可能性の幅が狭まらないように成長を後押ししてあげることが大切だと、私は考えています。
以前、私が担当していた生徒の話をします。小4から小6まで担当していた女の子です。国語がとても得意だったのですが、お母様はよく『両親ともに理系なのに、算数が苦手だなんて...』とおっしゃっていました。結局、入試まで国語は得意、算数は苦手という図式は変わらなかったのですが、がんばって第一志望校に合格してくれました。それからの中高6年間、彼女がどのような生活をし、どのように学んでいったのか、詳しいことは分かりません。ただ、結果として大学は医学部を選び、見事現役で合格。わざわざ私の校舎までそのことを報告に来てくれました(小学生で担当していた校舎から異動し、かなり遠方の校舎になっていたのですが...)、高校に入ると数学・理科の成績が伸び、また、国語(現代文)も変わることなく好きで、受験勉強の気晴らしは読書だったそうです。
その生徒と話をしていて感じたのは、中学受験のときに苦手な算数を「嫌い」にならなくて良かったということでした。もし、「算数は苦手だから嫌い」と思い込んでしまっていれば、きっと大学で理系の道には進んでいなかったでしょう。
私が小学校3年生・4年生の授業で一番心がけているのは、単に知識や解き方を覚えこませることではなく、頭のトレーニングをさせるようにすることです。頭の使い方や考え方の土台が出来上がる小学校中学年までにしっかりとしたトレーニングを行うことが、お子様が将来どんな道に進むにしても、必ず役に立つと思っているからです。
そして、精神的にも肉体的にも一番成長するのが中学・高校時代です。6年間過ごす環境をしっかりと選び、与えることが「子どもの可能性を奪わない」ためには、とても大切なことだと思います。
- 2017.07.07 『この夏を成功させる5つの方法 ~第2回クローバーセミナーより~』
- 2017.07.05 『夏をなめるな。』
- 2017.06.30 「国語の学習に関して③ ~記述力・表現力~」
- 2017.06.28 「国語の学習に関して② ~読解力とは~」