『教える側が理解すること』
2013.03.19
今回は、お子様の宿題などをご家庭でごらんになるときのポイントについて書かせていただきます。まず、最初に早稲田アカデミーで扱っている、小学校2年生の算数の問題をお考えください。
ひとつに3人が座れる長いすが6脚あります。
(1) あつし君の班には15人の生徒がいます。全員が座ったとして、あと何人座れますか。
(2) あつし君のクラスには全部で32人の生徒がいます。何人が座れなくなりますか。
さて、この問題をお子様から質問されたとします。皆様はどのように考えて、お子様に教えますか?
まずはご自身で問題を解いてみるはずです。そして解き方を理解して、その方法をお子様にお伝えになることでしょう。しかし、ここでもうひとつ考えていただきたいことがあるのです。それは、お子様がどの部分でひっかかるのかということです。どのように考えて、どの点でつまずくいているかというお子様に対しての「理解」です。
例に出した問題で考えてみます。これは『かけ算』の単元で出されている問題です。大人が普通に考えれば簡単に解けてしまいます。
(1) 3×6-15=3 答え(3人)
(2) 32-3×6=14 答え(14人)
となります。さて、それではお子様はどの部分でつまずいてしまうのでしょうか。
まずひとつ考えられるのが『全体を考える』ことができていない、という点です。式で言えば「3×6」の部分になるのですが、ここを最初に考えられていないケースがあります。この問題が学校の教科書に載っているとしたら、(1)の問題の前に、『長いす全部では何人座れるでしょう』という問題があるはずです。そこで出てきた「18人」という数字をもとにして次の小問に進むわけです。
次に、「全体で18人座れる」ということがわかったとしたら、「どちらからどちらをひけばよいのか」がはっきりわからない、というケースも考えられます。小学校の算数では「引き算は大きい数から小さい数を引く」というのが大原則になります(負の数の概念を学んでいないから当然のことなのですが...)。ところが、その結果、「引く数」と「引かれる数」があいまいになってしまって、その引き算の答えが何を意味しているのかがわからなくなってしまうことが多々あります。
少し細かく算数の問題について触れてしまいましたが、お分かりいただけたでしょうか。今回の記事の題名になっている『教える側の理解』は、単に問題の中身や解き方を「理解」するだけではなく、それ以上にお子様の状況を「理解」することを意識することが大切なことなのです。
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