『新年度にあたって ~学力について考える②~』
2013.04.05
前回の記事では、「学力」とはその先のステージで「学ぶ力」であること、そしてその力を身につけるためには次のステージで何を、どのように学ぶのかを理解することが必要であると書かせていただきました。
「学ぶ」ということで考えれば、最終的な教育を受けるのは大学になるわけです。実際は大学で終わるのではなく、社会に出てからも(もしくはそれからの方が)学ぶ機会は多くあります。そして、小学校から始まり大学までの一連の「学習」は、社会に出てからさらに学ぶための力につながるのだと考えています。ただ、社会に出てから「学ぶ」ということになると、話を広げすぎてしまうことになりますので、今回の記事では大学で学ぶために求められる力について考えてみたいと思います。
まず、最初にお話したいのは、20年前、30年前と比較をすると大学で学ぶことそのものが大きく変化してきているということです。時代や社会情勢の変化・進化にともない大学で学ぶことが多様化し、より専門性が高くなってきています。範囲が広くなってきていると言い換えてもよいかもしれません。しかもその範囲は、『浅く広く』ではなく、『深く広く』なっているので、求められる「学ぶ力」のレベルもより高いものになってくるわけです。過去の教育においては、身に付けている「知識の量」が「学力」と呼ばれていた時代もありました。しかし、今の大学で求められる知識の量は20年前と比較にならないそうです。ある大学の先生にうかがった言葉があります。
『昔は知識を身に付けていればそれでよかった。知らないことが少ない方が評価されていた。現代ではすべての知識を身につけることなどは不可能だ。だから、知らないことがたくさんあってもいい。知らないことをどうやって調べるかがわかっていることの方が大切な社会になっている。そして何よりも重要なのは、調べた知識をどのように自分にとって必要な情報として組み合わせ、次につなげていくかである。』
「その通りだ!」と思いました。知識を身に付けてもそこまでで終わってしまえば、そこから先の発展はありません。その知識をどのように活用していくか、そこが一番大切なことなのだと思います。いまの大学で求められる力のひとつは、単なる知識の積み重ねではなく、その知識や情報をいかにして手に入れるか、そして手に入れた知識や情報を活用することだと考えています。
さて、次にいま日本の大学は変わろうとしています。教育再生実行会議などで話も進められてもいるようですが、大学が変わればそこで学ぶ力も変わってくることが予想されます。次回の記事ではその点について触れたいと思います。
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