四つ葉cafe 福田貴一 中学受験をお考えの小学生3・4年生のお子様をお持ちの保護者の方のためのブログ

『読み聞かせ、音読、黙読』

2013.04.12

昨日から、いよいよ志木校で小学校3年生の授業を担当し始めました。まず初めは、早稲田アカデミーでの授業の受け方の確認からスタートしました。「なんのために塾にきているのかな?」「勉強!」「なんで勉強するのかな?」「頭がよくなるため!」...そんなやり取りの中で、授業に集中して取り組む姿勢や、授業内での行動の仕方などを話したところ、一気に勉強に集中できる雰囲気になったように感じました。そこから、挨拶をしたのですが、とても元気のよい大きな声で「よろしくお願いします!」と、みんなが言ってくれました。


今回は物語の単元だったのですが、まずは私が読んで聞かせるようにいたしました。生徒たちからは「えぇ!? 読みたい!」という声も上がったのですが、初回なので頭の中に文章がどれくらい構築できるかを試す意図もあって、「読み聞かせ」の手法をとりました。


国語の読解力の基本は、もちろん文章に書かれていることを理解することです。文章内容を理解するためには、頭の中で文章を組み立てることが必要になります。実は、問題を解くために読むという意識が強くなってしまうと、頭の中に文章の全体像を構築する前に、「答えを書こう」という気持ちが先に立ってしまって、この部分がおろそかになってしまうことがあります。それが高学年になって、国語が苦手になってしまうケースの原因のひとつとなることもあるのです。


物語の「読み聞かせ」は、細かい部分よりも「あらすじ」を理解することがメインとなります。特に小3・小4くらいまでであれば、細部よりも全体をとらえる思考を養う時期ですから、時には効果的な手法になります。ご家庭でも、物語を読み聞かせたあとで、登場人物やあらすじについていろいろと質問をすると、文章内容がどれくらい理解できているかを試すことができるはずです。


さて、では子どもに文章を読ませるときには「音読」と「黙読」のどちらがよいのでしょうか。「音読」にはさまざまな効果があります。文章を読むことに集中させる、声を出すことで元気になりやる気も生まれる、物語の会話文などは感情をこめて音読することで心情理解につながる...などです。特によく言われるのは、自分の声を自分で聴くことにもなり、単なる目で追いかける「黙読」とは異なり、より集中して脳が活性化するというものです。そして音読がうまくできるようになれば、文章を読むことそのものに自信が生まれる。さらに保護者の皆様が聴くことによって、思わぬ「つまずき」などに気がつくというメリットもあります。国語が苦手な生徒が「音読」をすると、助詞(て・に・を・は)を間違えることが多いのですが、それを矯正していくと、国語の成績が上がってくることがあります。


一方で、気をつけなければならないのは「音読」をしているときに、「正しく読む」ことだけに注意がいって、字面だけを追いかけてしまい、文章内容の理解にまで至っていないことがあるという点です。音読をさせたあとに、何が書いてあったかを確認してみるとわかるはずです。同じような文章を読み聞かせたときと比較して、理解度が低くなってしまうことが往々にしてあります。文章全体をしっかりと理解するという読解力向上だけを考えた視点でとらえると、「音読」よりは「読み聞かせ」の方が良いケースもあります。


最終的にはもちろん「黙読」をして、文章全体を頭の中に構築し、さらに細部にも注意が払えるような読み方が必要になってきます。黙読をしているのに、頭の中では音読をしていて、その結果、最後までいっても何にも頭に残っていない、そんな読み方にならないようにしてあげなければなりません。そのためには、いまお子様がどのように文章に触れているかを確かめて、その段階で一番効果的な読み方をさせていくことが大切なことなのです。

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