「『ら抜き言葉』は、間違い?」
2013.04.24
A『昨日、風邪引いちゃって宿題がやれなかった。』
B『昨日、宿題終わらなくってテレビ見れなかった。』
いかがでしょうか。保護者の皆様は上記のような表現に違和感を覚えられますでしょうか。違和感を覚えるとしたら、ABどちらの言い方でしょうか。今回は、よく話題になる「ら抜き言葉」について書かせていただきます。
一時期、「ら抜き言葉」は日本語の誤用の典型として、中学入試や高校入試でよく扱われていました。ある学校の面接で『朝はお母さんに起こされなくても、自分で起きることができますか?』と聞かれ、『はい!起きれます。』と元気に答えたところ、『今、あなたが使った言葉に間違いがありますが、分かりますか?』とつっこまれたという話も聞いたことがあります。しかし、最近では「ら抜き言葉」そのものの問題はあまり見かけなくなりました。
なぜ見かけなくなってきたかというと、日常的に使われる頻度も高まり、また「言葉の進化」の一つとして認められるような動きも出てきたからではないかと、私は考えております。以前はテレビのアナウンサーは絶対に使ってはいけない表現だったそうですが、最近ではテレビでもよく耳にするようにもなりました。
さて、ここからは中学校で学ぶ「文法」の話になります。苦手な方もいらっしゃるかもしれませんが、お付き合いください。
まず、助動詞『れる・られる』の話から始めなければなりません。『れる・られる』には「受身・可能・自発・尊敬」の四つの意味があります(ここまでは中学入試でも出てきます)。そして、『れる』は五段活用とサ行変格活用の動詞、『られる』は上一段活用・下一段活用と力行変格活用の動詞、それぞれの未然形に接続することになります。
たとえば、下一段活用の『食べる』ならば、『ない』をつけて『食べない』、『ない』の前の『食べ』が未然形になります。下一段なので『られる』をつけて、『食べられる』となり、これが正しい言い方となるわけです。そして、ここから『ら』を抜いて『食べれる』と言ってしまうのが、『ら抜き言葉』なのですが...。実はこの表現が一つの『言葉の進化』として認められるような動きになっているのは、もう一段階、深い要因があるのです。
少し、長くなってしまいましたので、その『深い要因』については次回書かせていただきます。 もちろん、ここまでの内容は小学校3年生や4年生に教えることではありません。ただ、単に『ら抜き言葉は使ってはいけません』だけではなく、そこから先も考えたり調べたりしていくことは、保護者の皆様にとってもお子様と一緒に学べる楽しさにつながるのではないでしょうか。
さて、最初に出させていただいた、ABの例文。どちらかは『ら抜き言葉』で、どちらかは正しい表現です。ここまで読みいただいた方はお分かりになると思います。
その答えも次回...。
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