「記述問題の解き方②」
2013.10.23
前回に引き続き「記述問題の解き方」について書かせていただきます。
私が指導している「記述問題を考えるうえでの五つの過程(段階)」について、前回の記事で下記のように紹介させていただきました。
①設問内容の把握
②解答イメージの構築
③解答に使用する語句の選別
④設問に答える形の文章にまとめる
⑤読み直す・見直す
今回は各段階におけるポイントを紹介します。
①設問内容の把握
記述だけではなく、それ以外の問題においても、一番重要なことは、「何を問われているのか」を正確にとらえることです。もっと広げて考えると、国語だけではなく、他の科目でも、問われている内容に正確に答えることができなければ正解にはなりません。よく設問に線を引きながら読んでいる生徒がいますが、線を引くのであれば、「何を問われているのか」の部分に引く必要があります。「理由」を聞かれているのか、「心情」なのか...といった点です。特に難関校の入試問題ほど、この点が重視されます。
②解答イメージの構築
問題によっては、この過程は省略しても構いません。100字程度までの記述であれば、解答の最終形をイメージしなくても正解を書くことはできるはずです。しかし、本当の意味での表現力を身に付けようと思うのであれば、ここはおろそかにできません。
記述問題のパターンごとに、解答パターンを教えるという指導法があります。これは、設問に合わせた解答イメージを定型的に教えてしまうというものです。パターン化してしまうことで、複雑な問題に対応できなかったり、本質的な表現力や思考力を育成できなかったりというデメリットもあるのですが、記述を苦手としている生徒には有効な指導法です。たとえば物語文でよく出題される「行動や表情の理由を問う記述」の場合は、「『原因となる事実』→『心情』になったから」というイメージで解答を作るというやり方です。
③解答に使用する語句の選別
設問をしっかり読んで把握した「問われていること」に合わせて、もしくは②で頭の中に作った解答イメージに合わせて、解答に使うべき語句を選ぶ(考える)という作業です。
一般的に、説明文であれば本文中から選ぶことが多いはずです。一方、物語文などの文学的文章であれば、本文中からだけではなく、自分の持っている語彙の中から使うべき語句(ことば)を考えなければならない場合が多くなります。②で例に出した「行動や表情の理由を問う記述」の解答パターンの中にある「心情」は、本文中にその言葉が書かれていることはほとんどありません。そのため、自分の語彙から適切な言葉を見つけ出すという考え方が必要になります。
さて、本文中から必要な言葉を選びだすというトレーニングは、記述以外の「抜き書き」などの設問に対しても効果があります。自分の中に解答イメージが構築され、「こういう意味の言葉、こんなニュアンスの言葉を探そう」という明確な意図を持って本文中から語句を探すわけですので、単なる「抜き書き」問題でも高度な思考トレーニングになるのです。その際、一番重要なポイントは、本文全体からではなく、その言葉があるところを重点的に探すということです。そのためには、文章の内容と構成がしっかりと頭の中に入っていることが必要になるのです。
少し長くなってしまいましたので、④・⑤の説明と、その際の留意点、さらには小3~小4であればどの部分を重視するべきか、などについては次回に書かせていただきたいと思います。
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