「言葉づかい・敬語について」
2013.11.20
最近の中学入試では、言葉づかいに関する出題が(以前と比較すると)多くなってきている印象があります。ある男子御三家中学で数年前に出題された問題では、「めでたい」「せこい」「大きい」などに「ございます」をつけさせる問題が出題されました。中学校以上で学習する国文法的に解説すれば、形容詞・連用形の「ウ音便」を作らせる問題です。さらに、その先に「せこい」や「やばい」に「ございます」をつけるとおかしいのはなぜかを考察させる問題につながっていきます。また、女子御三家中のひとつでは「ウ音便化してできたあいさつの言葉をひとつ書きなさい」という問題も昨年出題されました。
中学受験のカリキュラムでは、国文法はあまり詳しく扱いません。品詞(名詞・動詞・形容詞など)は一通り学習しますが、用言の活用(活用の種類や活用形)まで学習することはほとんどありませんし、ましてや特殊な活用ともいうべき音便形に関しては、まず触れることはないはずです。上記のような学校で出題されているので、過去問などをやると「やっておかなければ...」という気持ちになるかもしれませんが、文法の問題ととらえるよりは、「普段の言葉づかい」を試されている問題であると考えた方がよいでしょう。文法の知識として覚えるよりも、普段から言葉づかいに注意をしておくことの方が対策としては有効です。
小学校3年生の国語カリキュラムの中にも「敬語」という単元が出てきます。指導するのが非常に難しい部分です。小3段階ではまだ人間関係においても「目上・目下」という感覚がしっかりとは確立していません。特に「へりくだる」という感覚はほとんどないのが普通です。その段階の子どもたちに「『食べる』の尊敬語は『めしあがる』、謙譲語は『いただく』。覚えなさい!」というだけの指導では無理があることはご理解いただけると思います。この単元で身につけさせたいのは、「相手によって使う言葉を変える」という言葉づかいのポイントのことです。そういう言葉づかいの例として「食べる・めしあがる・いただく」という言葉を理解させればよいわけです。
次の段階(小4以上)では、自分の行動には謙譲語を使い、(目上の)相手の行動には尊敬語を使うという方向に進むのですが、この段階でも「●●の尊敬語は△△で、謙譲語は◆◆」という覚え方よりも、「先生が給食をめしあがる」というような日常的な使い方の中で身につける方が、よりしっかりと定着するはずです。
さて、明日木曜日(11/21)、今年度第4回目の「クローバーセミナー」を実施いたします。会場は東急東横線「都立大学駅」の「めぐろパーシモンホール」です。お申込みいただいた方は、お気をつけてお越しください。お待ちしております。
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