「牛乳を二本買ってきて」
2014.02.12
「学力」とは「学ぶ力」であり、入学試験はその学校で「学ぶ力」を持っているかどうかを試すためのテストであると、以前にも書かせていただきました。中学受験へ向けた学習を進めていくにあたって、その点を忘れてはいけないと、私も常々考えています。
たとえば、国語で漢字の学習をさせるのも、単に多くの漢字を知識として覚えこませることが目的なのではなく、暗記学習について自分なりの効率的かつ効果的な方法を早いうちに身につけてもらうためなのです。中学生になれば、その先の学習の基礎土台となる、覚えなければならない知識がたくさん必要になります。確かに近年、社会の進歩・進化に伴って、「知識の量」よりも「思考力」が大切にはなってきていますが、考えるための土台として、ある程度の知識が必要であることは間違いありません。
さて、さらに進めて今回は国語の学習が、どのような力につながっていくのかについて書かせていただきます。
小学生の国語の学習は、すべての科目の基礎であるとよく言われます。読解力という点では、もちろんその通りです。算数にしろ、理科社会にしろ、問題文を正しく読み取ることができなければ正解を出すことはできないのですから。そして、さらに掘り下げると、国語は他者とのコミュニケーションにおける基本的な力を養うための学習だということもできます。
「牛乳を下のスーパーで二本買ってきて」とお子様に頼んだとしましょう。「うん、わかった!牛乳だね!」とお子様がお答えになったとしたら、少し心配になりませんか。「わかってる?二本よ!」と付け加えたくなるのではないでしょうか。
相手の表現の中で重要なポイントを正しくおさえて答えることがコミュニケーションでは大切なことなのですが、ここでは「牛乳」というより「牛乳二本」が重要なはずです。お子様は、きっとわかっていないわけではなく、正しく「二本の牛乳」を買ってくるとは思うのですが。
国語の授業でも、問われていることに対して「正確に」「過不足なく」「言葉を吟味して」、解答を作るように指導するわけです。とは言っても、教わってすぐにできるようになるわけではありません。本文を読んで筆者の考えをきちんと理解し、どのポイントが重要なのかを把握するところからがスタートです。
国語の指導においては、こういった指導方法がいくつもあります。記述では「否定語は極力使わない」「比ゆ表現は使わない」といったものなどがあるのですが、実はこれらも他者とコミュニケーションをとるときの基本的なテクニックであったりもするのです。
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