四つ葉cafe 福田貴一 中学受験をお考えの小学生3・4年生のお子様をお持ちの保護者の方のためのブログ

「お金の話」

2014.04.23

「ぼく、もう勉強したくないから、塾に行きたくない。」

小学校4年生の男の子が、ご家庭でそういう言葉をもらしたそうです。お母様は慌てて私に相談にいらっしゃいました。いつも真面目に授業を受け(とは言っても小4の男の子なりのおふざけもあったのですが)、宿題も欠かさず提出してくれていたので、私も驚きました。シールを集めることをとても楽しみにしていましたし、漢字テストで連続100点記録を伸ばすことを目標に非常にがんばってくれていました。


お母様からのご要望もあり、私がお子様と一対一で面談をしました。そこで出てきた「本当の理由」は、「お母さんに無駄遣いをさせたくないから」という言葉だったのです。ある日、ご家庭の中で、塾の費用などについての会話があったそうです。詳しい内容までは聞かなかったのですが、「これだけの費用がかかっているんだから、成績を伸ばさなければ無駄になる」というような話だったようです。普段から、お小遣いやお年玉などをもらうときに「無駄遣いをしてはいけない」と聞かされていた彼は、自分が成績を伸ばさなければ「大きな無駄遣い」になってしまうと考えてしまったようです。


自分ではどうすることもできないことに対して、人間は大きな心の痛みを感じるそうです。身近な存在の「死」であったり、卑近な例であれば「失恋」であったり。自分がどう努力しても、その事態を変えられない場合に、つらく、切なくなり、大きな悲しみを胸に抱くものだそうです。


お子様にとって、「お金の話」は自分ではどうすることもできないもののひとつです。大学受験の際には、アルバイトをして学費を稼ぐということもできるでしょう。しかし、小学生のお子様にとっては不可能です。また成績が右肩上がりで伸び続ければよいのですが、成績というのは上下するものです。ですから、かけたお金の分だけ常に成績を上げなければならない、とお子様が考えてしまうと、そこには大きなプレッシャーが生まれてしまいます。


お金のことや経済に関する感覚をどのようにお子様に理解させるかは、ご家庭での指導方針や考え方になりますので一概には申し上げられませんが、塾や学校の費用(教育費)については、お子様の心的な負担にならないようにお話いただくことを、私はお勧めしています。特にこの点に関しては、ご両親の考え方に食い違いがあるのも、お子様を混乱させることにつながりますので、お父様・お母様でお話いただく時間をおつくりいただくのもよいと思います。

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