『気持ちを理解する』
2014.06.25
他人の気持ちを理解する、ということはとても難しいことだと思います。ただ、人間は一人では生きていけないのですから、常に他者とのコミュニケーションを意識しなければなりません。
国語では、心情をとらえる問題がよく出題されます。登場人物が置かれている背景を理解し、気持ちが動く原因となる出来事を読み取り、そしてその結果生じた人物の行動や表情・会話から気持ちを推測する、といった手順で考える問題です。初めのうち(低学年のうち)は、表に出てきた「行動・表情・会話」だけによって気持ちを読み取ろうと考えてしまいがちです。「泣いている→悲しい」「笑っている→楽しい」といった感じでしょうか。その次の段階になると、結果として同じ行動であったとしても、その原因となる事実によって様々な心情が生まれることがわかってきます。そして、人物が置かれている状況(背景)まで考えてその心情を把握することができるようになれば、中学入試の準備としてはOKです。
さて、国語の問題で出される「気持ちの理解・読み取り」はある程度一般的なものです。ところが、実際の社会や生活の中では、それぞれの「背景」は様々です。単に「置かれている状況」だけではなく、その人物の「考え方」や「価値観」を理解しなければ、本当の気持ちまではわからないはずです。
実は、お子様への接し方の基本がここにあるのです。精神的な成長過程にあるお子様にとって、大人の価値観が当てはまらない場合が多くあります。よく言われることですが、お子様は成長に伴って、意識する対象が変わっていくものです。初めは親や先生といった「上」への意識が強いのですが、だんだんと同学年の友人やライバルという「横」を意識するようになり、最後に自分の理想や夢をかなえるためにという「下(内・自分)」を意識するそうです。もちろん、決まった時期にその年代のお子様の気持ちが一斉に切り替わるということではありません。小3から小4くらいの時期では、まだ「上」への意識が強く、精神的に成長してきたお子様でも「横」へ向けた意識が芽生え始めたくらいでしょう。
たとえば「勉強」に対してのモチベーションを上げることを考えても、この点を理解して接することが必要です。「自分のためなんだからがんばりなさい」という言葉は、勉強することが将来の自分のためになる、ということを教えるためには必要な言葉です。ただ意識が「上」や「横」までのお子様にとって、本質的に理解できるものではなく、その言葉を聞いたからといって「よしがんばろう!」という気持ちにはならないのが普通です。小3小4のお子様は、親や先生に「勉強すること」・「テストを受けること」、そのこと自体を褒められることによって勉強に対するモチベーションを上げていきます。
お子様の価値観や気持ちを理解したうえで、接していただければと思います。
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