『テキストに書かれていないこと』
2014.10.22
中学入試では「テキストに書かれていないこと」が出題される場合があります。もちろん、テキストに書かれていることが土台となっているのですが、その周辺知識や考え方についても興味を持って学習してきたかが問われるようになってきているのです。
たとえば、国語の文章読解では、様々な背景を理解することでより深く文章を読み取ることができるようになります。一時期、中学入試の物語文では、現代の小学生が主人公のものが多く取り上げられていましたが、最近では、舞台となっている時代や地域、主人公の年齢も多種多様になってきました。特に難関校の国語に関しては、その傾向が強くなっているように思います。特徴的だったのは、2012年度の開成中学の出典。下村湖人の『次郎物語』が出題されていました。時代背景や登場人物の考え方など、現代とは大きく違っています。そのことを理解したうえで、根底にある人間としての心情を把握するような問題でした。
私も国語の授業では「脱線」することがよくあります。特に言葉について深く理解させたいときには、生徒の表情を見ながら様々な例を用いて話をします。たとえば、流行っている歌の歌詞であったり、名前の付け方であったり...。NN女子学院クラスの授業で名前について話をしたときには、7割以上の生徒の名前の語尾が「ア段」か「イ段」でした。昔の女性の名前の語尾は「エ段」や「オ段」が多かったのですが、その語感の違いについて考えさせたりもしました。
極論をすれば、テキストに書いてあること、模範解答や解説に書いてあることだけを教えるのであれば、講師の存在意義は薄いと考えています。もちろん、テキストや解説は「難しく」書かれていますので、それをわかりやすく噛み砕いて教えるのも講師の役目です。しかし、そこから一歩踏み込んで、テキストに書かれていないこと(特に大きな考え方や思考の方向性など)を、しっかりと教えていく必要もあると考えています。そういった意味において、授業はとても大切なのです。ご家庭では、直接テキストに書かれていないことでも、先生の話をしっかりと聞くようにお伝えいただければと思います。
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