『「解き方」を覚えるのは...』
2015.01.14
質問にきた生徒に、「この問題のなにがわからないの?」と聞くと、「解き方!」という答えが返ってくることがあります。特に算数の質問の場合に、このように答えるケースが多いように感じます。しかし、質問にきた生徒に確認をしてみると、その問題に必要な「解き方」はちゃんと理解している場合がほとんどです。たとえば、「つるかめ算」であれば「面積図」、「和差算・分配算」であれば「線分図」、といった「解き方」は理解できているのです。ただ、問題を読んで(もしくは図形を見て)、その「解き方」まで持ち込むことができていないのです。言い換えれば、その問題に対して「どのように「考える」か」というところで止まってしまっているわけです。
算数の場合、この「考え方」が大切になってきます。小3から小4の一学期くらいまでで学習する単元では、「解き方」をメインに教えていきます。テストにおいても、授業で教わった「解き方」を覚えて、それをそのまま当てはめれば解ける問題が中心です。しかし、「応用」と言われる問題は、その「解き方」を使うまでの「思考過程」をしっかりと身につけていないと解くことはできません。算数の問題を解くとき(教えるとき)には、この「考え方」→「解き方」を意識すると、うまくいく場合が多くあります。
さて、算数を苦手とするお子様の場合、この「考え方」のところまで、覚えてしまおうとする傾向があります。算数という科目を「考えて解く」のではなく、「知っていることを当てはめて解く」というように誤解をしてしまっているのです。確かに、受験算数で出てくる「○○算の解き方」の数は限られていますが、そこに至るまでの「考え方」は無数に存在するのです。そのすべてを「覚えて」しまうことなど、もちろん不可能ですし、効率的ではありません。運よく、目の前の問題を「考え方」を覚えていたことで解くことができたとしても、次も上手くいくとはかぎらないのです。このタイプのお子様の場合、「難しい」と思った瞬間に、思考が停止してしまうことがあります。つまり「知らないからできない」ということになってしまうのです。
中学受験では、テキストで見たことがあるような問題ももちろん出題されますし、知っている問題を「正確に素早く解く」ことも必要です。しかしそれ以上に、見たことがない問題でも「解ききる」ことが重要になってくるのです。中学校で問題を作っている先生も、「いままで出題されたことがないような問題を作りたい」と考えている場合もあるようです。特に難関中学では、そういった問題が合否を分けることも多くあります。
小4~小5の段階で、「算数は暗記科目ではない」ということを、しっかりとお子様が理解できるように、ご家庭でもご指導いただければと思います。「解き方を覚える」のではなく、「自分で考えて解く」のだということが早いうちに分かったお子様は、その後、算数成績は伸びていくはずです。
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