『幹 ~クスノキと桜の木~』
2015.01.30
長崎県にある山王神社に楠(くすのき)の大木があります。70年前に被爆し、ほとんど枯死しかけながらも、強い生命力で息を吹き返し、今でも夏になると青々とした葉をつけているのだそうです。昨年末の「紅白歌合戦」にて、数年前の大河ドラマで坂本竜馬を演じた俳優がその楠を題材にした歌を歌っていたのには驚きましたし、さらにその方が長崎県のご出身とのことで、ご自身で詞や曲を書いていらしたのにもびっくりしました(私はずっと俳優だと思っていたものですから。ギターもうまかったですし...)。
小3・小4の授業を担当するとき、私は「木の幹(みき)を太くする」というようなイメージで指導しています。中学受験という範囲で考えると、小1・小2では「根」をはらせ、小3・小4ではしっかりとした「幹」をつくり、小5・小6ではその上に「枝」を茂らせ、そしてそこにたくさんの「葉」が芽生えて、「花」が咲き、「実」がなる。そんなイメージです。さらに、中学入試へ向けて行った学習の経験は、その先の将来において人生の「幹」となると思うのです。大人になってからも記憶として残るかどうかはわかりませんが、努力した経験も、身につけた思考方法も、必ずやその先に「生きる」ものとなるはずです。そういう意味において、我々はとても大きな責任を担っていると痛感しています。
本日、昨年の2月から一年間担当してきた、吉祥寺校の小3クラスでの最後の授業を行いました。残念ながら、新小4からは担当を外れることになっています(すでに生徒・保護者の皆様にはお伝えしていたことではあるのですが)。毎週金曜日に顔を合わせていましたので、表情を見ただけで、「今日はやる気だな」とか「宿題、ちゃんと終わってないな」とか、そんなことまでわかるようになっていました。これから毎週、会えなくなると思と、とても寂しいです。ただ、早稲田アカデミーから離れるわけではありませんので、今後行われる全校舎的なイベント(夏期合宿や正月特訓、志望校別クラスなど)でお会いできる機会はまだまだあると思います。
そしてなによりも、彼らや彼女たちには、小学校3年生としての「しっかりとした太い幹」をつくってあげることができたと自負しています。イメージになってしまうのですが、小3の「幹」としては、上に伸びることよりも、太さの方が大切だと考えています。それは、科目学習的な面でもそうなのですが、学習に向かう気持ちの面、目標を持ってしっかりと取り組むという意識の面など、様々な部分に及ぶ「太さ」です。担当してきた国語だけではなく、そういった点においても指導をし、生徒たちは身につけてきてくれました。一年前から比べると、皆、大きくたくましく成長してくれ、これからが本当に楽しみです。
この場を借りまして、吉祥寺校小学校3年生の生徒たち、そして保護者の皆様にお礼を申し上げたいと思います。本当に一年間ありがとうございました。また、授業の終わりには、生徒たちから心のこもった色紙までいただきました。生徒一人ひとりからのメッセージを見ていると、色々なことが思い出されました。
皆さんにとって一つのゴールとなる「中学入試」を迎えるときには、ぜひ応援に駆けつけたいと思います。また、これから本格的な中学受験に向けての学習が始まるため、時には壁にぶつかることもあるでしょう。直接、授業は担当していませんが、不安になったり、悩んだりしたときには、いつでも連絡をしてください。
実は、私の実家にも一本の大木があります。区の保護樹林にも認定された桜の木で、私が生まれたときからずっと門の脇に立っています。小学生のときから「でかいなぁ」と思っていたのですが、今朝の雪にも負けずにしっかりと立っていました。長崎の楠ほどではありませんが、「太い幹」でした。きっと春には、またたくさんの花を咲かせてくれることでしょう。私自身もさらにしっかりとした「幹」を持って、これからも生徒の指導にあたっていきたいと感じた瞬間でした。
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