『お子様の名前 ~音のニュアンスと文字のイメージ~』
2015.04.15
「キラキラネーム」という言葉を最近よく耳にします。先日の新聞には、「キラキラネーム」とは真逆の名前の付け方として「シワシワネーム」というものが載っていました。確かに最近は出席簿を見ていても、いろいろな名前のお子様がいらっしゃいます。私個人としては、お子様の名前はそれぞれのご家庭の個性であって、どのような名前でも素晴らしいと思います。私の勤務している錦糸町校では、お子様の名前は苗字だけではなく、フルネームでしっかりと記憶するようにと、スタッフに指導しています。早稲田アカデミーの授業では、「講師は苗字を呼び捨てにする」というスタイルをとっていますので、授業中はその形になるのですが、授業外では、あえて下の名前で呼ぶこともあります。そのとき、お子様はちょっと照れたような、でもうれしそうな表情になります。
私の名前は「貴一」と書いて、「タカカズ」と読みます。小学校のときに全校集会で表彰されることがあって、そのとき校長先生が「キイチ」と呼んだことをきっかけに、あだ名は「キイチ」もしくは「キーチ」となり、古くからの友人でも本当の読み方を知らない人もいるほどです。この「貴一」という名前は、母方の祖母が有名な(?)姓名判断の先生に相談してつけたものだそうです。ところが、命名した後で父方の祖母が、別の方に見てもらったら、「将来を期待できない名前」と言われたとか。今となっては笑い話になっています。
最近の女の子は、「ア段・イ段」で終わる名前が多いようです。昔は「○子」「○江」などに代表される、「エ段・オ段」で終わる名前が多かったのですが、それが変わってきているそうです。確かに、出席簿を見ていてもその傾向は強いように思います。ひとつの流行りとも言えそうですが、実は時代的背景や社会的背景の中で、お子様に求められるものが変わってきていることにも一因があるという話を聞いたことがあります。
「エ段・オ段」の音は、「おしとやか」とか「従順・忠実」といったようなニュアンスがある音だそうです。女性は家庭を守ることが第一と考えられていた時代は、そういった音の名前が好まれたということです。一方、「ア段」は「華やいだ明るい印象」、「イ段」は「元気で活発な印象」というニュアンスがあるそうです。
音ではなく、文字からもそういった印象を受けることがあります。たとえば「氷」と「陽」という字を比べてみましょう。「氷」は直線的で鋭角的な感じが、鋭さや冷たさといった印象を与える文字です。一方、「陽」は曲線が多いため、柔らかさや暖かさを感じます。以前、ある中学校の入試問題で詩が出題されたときに、「絶対零度」という言葉に傍線が引かれており、「なぜ『絶対0度』ではなく、『絶対零度』と表現したのかを答えさない」という問題がありました。
国語というのは、様々な角度から「言葉」を考えていく科目です。上記させていただいたような「音」のニュアンスや「文字」のイメージを膨らませていくことも、とても大切な要素です。ご家庭でもお子様の名前の由来などから、お話しいただくとよいのではないでしょうか。
- 2017.07.07 『この夏を成功させる5つの方法 ~第2回クローバーセミナーより~』
- 2017.07.05 『夏をなめるな。』
- 2017.06.30 「国語の学習に関して③ ~記述力・表現力~」
- 2017.06.28 「国語の学習に関して② ~読解力とは~」