『2020年へ向けて① ~「表現力」について~』
2015.06.19
2020年、お子様は何年生になっていますか。
2020年7月24日から8月9日までの予定で、「東京オリンピック」が開催されます。前回の東京オリンピックは1964年でしたから、その時のことを覚えていらっしゃる保護者の方は少ない(ほとんどいない)ことでしょう。
さて、そのオリンピックへ向けてのお子様の「教育」という点では、やはり語学の問題が話題になっているようです。昨年度中に実施された私立中学校の「学校説明会」でも、東京オリンピックを話題にあげながら「英語教育」の充実について話された学校が多かったようです。もちろんオリンピック期間中には、多くの外国の方が来日されるので、外国語に対する注目度は必然的に高まることでしょう。飲食店などでも、英語が話せる社員やアルバイトの採用が盛んになるというような話も聞きました。
しかし、英語が必要になるのは東京でオリンピックが開催されるからではないはずです。日本の大学が国際的な競争の中で生き残っていくためには、より優秀な留学生や指導者が必要であり、その結果として、難関大学の授業の多くが英語で行われるようになると言われています。入試に合格するための英語ではなく、学ぶためのツールとしての英語、さらには仕事をしていくための英語が求められる時代になっているのです。すでに多くの中学校では、英語を英語で教える「オールイングリッシュ」の授業が進められていますし、一部の学校では他の科目(社会や理科)の授業についても英語で教えることに着手し始めているところも出てきています。
一方で、英語によるコミュニケーションを上達させるという点では、単に英語を勉強すればよいというわけではないと私は考えています。もちろん、常に英語に触れられるような環境があれば、日本語だけではなく、英語でも「考える」ことができるようになり、必然的に英語でのコミュニケーション力も上達することでしょう。しかし、現在の日本では、英語が常に身近にあるような環境に身をおくことは簡単ではありません。そのため、まず母国語(日本語)における表現力をしっかりと身につけることが必要だと考えているのです。小学生に英会話の学習をさせることは、英語に親しむという点においては効果があると思います。しかし、「学ぶツールとしての英語を身につける」「英語で仕事をしていく」と考えると、足りない点もあるはずです。
英語にしろ、日本語にしろ、まず一番大切なのは、相手に対して自分の気持ちや考えをきちんと伝えるということです。しかし、自分の中に「伝えたいこと」がしっかりと組み立てられていなければ、どれだけ言葉を学習したとしても、表現することはできないでしょう。これからの世の中で必要になると言われている力のひとつである「表現力」の本質は、正にここにあるのです。たとえば、いま学んでいる「国語」も、表面的な言葉の学習ではなく、自分の中に「伝えたいこと・伝えるべきこと」をしっかりと持てるようになるための学習なのです。
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