四つ葉cafe 福田貴一 中学受験をお考えの小学生3・4年生のお子様をお持ちの保護者の方のためのブログ

『文章を読みながら線を引く』

2015.06.26

『うちの子は読解力がないんです。しっかり読めてなくて...。文章に線も引いていなし...』

そんなご相談をいただきました。問題文に線を引くという作業に関しては、賛否両論あります。私も高校生に指導をする場合などは、ルールを作って引かせるようにすることもあるのですが、小学生の場合は原則として引かせない派です。


授業や家庭学習が終わったあとに国語のテキストをご覧になって、本文中に線が引いてあれば、保護者の皆様は「うん、ちゃんと勉強したのね」と安心されるのではないでしょうか。ただ、ちょっと待ってください。その文章の内容はちゃんと理解できているのでしょうか。引かれている線は、ただ単にその文章を目で追いかけた、その「しるし」のようになっていないでしょうか。もしそうだとすれば、国語力・読解力はなかなか向上しないはずです。保護者の皆様と同じように、線を引いただけで、「読んだ」と思い込んでしまっているお子様もいることでしょう。


線を引く習慣のある生徒のテキストを見てみても、本当に重要なポイント(だけ)に線が引かれているケースはほとんどありません。また、明確なルールがあり、それに従って引かれているわけでもありません。言ってしまえば、本文中に「無駄なしるし」がたくさん残ってしまっているような状態です。問題を解く際にも、「無駄なしるし」は目印になるどころか、逆に邪魔なものにもなってしまうのです。本当に重要なポイントに線が引けるようになるためには、非常に高度な読解力が必要なのです。


さて、私が文章中に線を引かせる(「しるし」をつけさせる)という指導を小学生に行う場合、以下のようなルールを定めています。参考までに書かせていただきます。


①説明文の場合は「意味段落の切れ目」、物語文の場合は「場面(場所や時間)の変わり目」に線を引く。

②説明文や論説文で、筆者の「結論(一番伝えたいこと)」だと思われるところを線で囲む。

③設問に対する解答となる場所や語句には、「読んでいるとき」ではなく、「解いているとき」ならば好きに「しるし」をつけてよい。


上記のように、多くの場合、文章中に「線が引いてあるかどうか」はしっかりとした読解ができているかどうかの目安にはなりません。では、お子様が文章内容を読み取れているかを確認するためには、どのようにしたらよいでしょうか。それには、単純にどんなことが書いてあったのかを会話していただくのが、小3~小4段階では一番よい方法だと思います。「国語の授業のあとには、必ずお母さんがどんな内容だったのかを聞いてくる」、そう思うだけで文章を読んでしっかりと理解しようという気持ちが生まれてくるはずです。説明文であれば「何について(話題)」「筆者が伝えたいことはなにか」、物語文であれば「登場人物」「場所や時間」「どんなことがあったのか」、そういった基本的なことからではじめはかまいません。なによりも頭の中に、文章をきちんと入れるというイメージをお子様ご自身が持てるようになるまで、地道に継続をしていくことが大切なのです。

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