『書き抜き問題は難しい』
2015.07.17
先日のクローバーセミナーで、少しだけ国語の文章読解について触れました。努力が結果に反映されやすい漢字や知識と違い、文章読解についてはなかなか上達を実感できないと思います。そのような話題の中で、『書き抜き問題』についても触れていきました。メインとなるテーマからは少し外れる内容でしたので、あまり詳しくはお話ししなかったのですが、セミナー会場でお受けしたご質問やアンケートに「国語を苦手にしているので、もう少し詳しく聞きたい」という声がいくつもありましたので、今回はその話をさせていただきます。
お子様の答案を確認した際、「書き抜き問題」が空欄になっているのを見て、気になったことはありませんか? 大人からすると、「書き抜き問題」は、自分で言葉を考える必要がなく、本文中からただ抜き出してくればいいのでとても簡単に見えます。ただそう感じるのは、文章に書かれている事柄を完璧に理解できるからなのです。お子様にとってテキストやテストに出てくる文章は、精神的な成長度合から考えても、完全に理解することは難しいはずです。つまり、お子様が「書き抜き問題」を空欄にしている場合、文章の内容がしっかりと頭の中に入っていないからだと考えることができます。
文章内容の理解が不十分な状態で、「書き抜き問題」に取り組む場合、「どこかにそれらしい言葉はないか」というような答えの探し方になってしまいます。文意から適切な語句を考えるのではなく、ともすれば「制限字数に合わせてそれらしい言葉を探す」という解き方になってしまいます。ただ、それでも偶然正解してしまうと、「そういう解き方でいいんだ」と安易に考えてしまう可能性もでてきます。
本来の「書き抜き問題」の正しい考え方は以下の手順になります。
①空欄にあてはまる言葉を、自分の言葉でイメージする
②それと同意の言葉が、文章中にあった場所を思い出す
③該当箇所を探して、見つける
しかし、文章の理解があいまいな場合、まず、①の段階で的確な言葉がイメージできず、②③の段階においては、必要な部分がわからないため、文章の初めから終わりまでを何度も「読んで(眺めて)」探すことになってしまいます。結果として一つの設問に多くの時間を取られてしまったり、いろいろと探してはみたものの結果として答えが見つからなかったりするわけです。
受験生の中にも、「国語の問題を試験時間内に解き切ることができない」、という不安を抱えている生徒がいます。その生徒の多くが、「読むスピードを上げる」という方法を考えるのですが、私はあまりお勧めしません。それよりも「じっくり読んで、問題を解くスピードを上げる」ことの方が必要なのです。きちんと文章が読めていないために、問題を解くのに時間がかかっているわけですから、読むスピードを上げる(急いで読む)というスタイルを取り入れた場合、さらに文章内容が理解できなくなってしまいます。そうすると問題を解く時間がかかるばかりか、正答率までも下がってしまう結果になってしまうわけです。
「書き抜き問題」を苦手としているお子様は多いはずです。その場合は、まず「きちんと精読する」「文章をしっかりと頭の中に入れる」というところからスタートしてみてください。
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