「夏に『読む』」
2015.07.24
早稲田アカデミーでは、現在「夏期講習会」が行われています。私が勤務している錦糸町校でも、生徒たちは朝から元気に授業を受けてくれています。すでに真っ黒に日焼けをしている生徒もいますし、学校の夏休みの宿題(日記以外)を全部終わらせた生徒もいます。夏期講習会を含めた「夏」を楽しんでいるようです。そんな様子を見ていると、やはり「夏」は子どもたちを成長させる季節だなぁ...と感じます。
さて、今回は、そんな「夏」に国語力を上げる、というテーマで書かせていただきます。
保護者の皆様の中にも、夏休みにたくさんの本を読んだという経験をお持ちの方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。小学校でも「読書感想文」が宿題に出されることもあり、夏には「読書」とお考えの方も多くいらっしゃると思います。私も学生だったころは、夏になるとかなり読書をしていた記憶があります。中学生のときは、エアコンが効いている近所の図書館に通っていたほどです。早稲田アカデミーにお通いの皆様も、この夏に読書をしてみてはいかがでしょうか。「この夏の一冊」のような本に出会えれば、それはとても幸せなことだと思うのです。
一方で、読書があまり得意でないお子様の場合、「夏になったから本を読みなさい」と言ってもなかなかうまくいかないものです。学校から出された「読書感想文」の宿題を行うために、図書館から本を借りてきたとしても、結局読まないまま返却してしまう、ということもあるかもしれません。そういったお子様に対して、私は「一学期中のテキスト(予習シリーズなど)の文章を読む」という課題を出すことがあります。先日の記事(「書き抜き問題」について)でも書かせていただいたのですが、国語力を高めるためには、文章を読んでその内容を理解することがまず必要です。読書が得意(好き)ではないお子様の場合、もしくは国語という科目を苦手としているお子様の場合、読んだ文章の内容がしっかりと頭の中に入っていないことが多くあるはずです。そのため、テキストに掲載されていた文章も、ただ問題を解くために目を通しただけで、本当の意味での「読む」という状態にはなっていないことがあるのです。
各学年のテキストで学習する文章は、その学年よりも上の年代を対象としたものが多くあります。たとえば、小3のテキストであれば、普通は小4~小6(場合によっては中学生)レベルの文章が出題されているわけです。だから、まだそのレベルの文章を読み慣れていない場合は、1回読んだだけでは理解できないケースがでてくるはずです。ただ、ある程度そのレベルの文章に慣れることによって、また最初読んだときよりも精神的に成長することによって、次に読んだときには理解できる部分が多くなっているはずです。「一学期中のテキストを読み直す」という課題を出すのは、上記のような効果を狙っているからです。初めて読んだときには気が付かなかった内容を、あらためて読み直し、理解することで、読解力の向上が図れるのです。
ここで注意をしていただきたいのは、この課題は「読む」ことが目的なので、「解く」ことは求めないでください。「せっかく読むのだから、もう一回問題も解きなさい」、とおっしゃりたい気持ちもわかるのですが、そうすると「解くために読む(目を通す)」という作業になってしまい、お子様の中で「読んで理解する」という気持ちが薄れてしまうのです。
そして、テキストの中で読んだ文章に興味を持ち、その続きを読みたくなってくれれば、図書館でも本屋さんでもかまいませんので連れて行ってあげてください。きっとお子様が読書を楽しむ一歩になるはずです。
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