「愛の対義語」
2015.10.14
以前(2013年12月)の記事で、「LOVE」という言葉が日本に初めて入ってきたときには「大切」と訳された、という話を紹介しました。今回はその続編のような形で、「愛」という言葉の対義語について書かせていただきます。
国語的には「愛」の対義語は「憎」となります。小学生の学習範囲からは外れますが「愛憎」という熟語もあります。しかし、「愛の対義語は『無関心』」という有名な言葉があります。マザーテレサの言葉だそうですが、私にはとてもしっくり入ってきました。「愛=大切に思う」という前回のブログでご紹介した考え方と相通ずるようにも思います。もちろん、国語的に考えれば「無関心」の対義語は「関心(がある)」ということになります。そう考えると「愛する」ということは、その対象へ「関心を持つ」ということになるのかもしれません。
良い指導をするために一番大切なことは、「お子様に関心を持つ」ことだと思います。たとえば、授業準備においても、テキストをどのように教えるかではなく、生徒ができるようになるためにはどうすればよいかを第一に考えるようにしています。
「叱るとき、ほめるとき」というテーマでお話しするときには、「子どもがほめられたいときにほめ、叱られることを覚悟しているときに叱る」とお伝えすることがあります。ほめてほしいときにほめてもらえないと、子どもは次第に前向きな気持ちを失っていきます。一方で、叱られると思ったときに叱られないと、物事を甘く考えるようになってしまいます。効果的に「ほめる・叱る」ためには、お子様に対する関心が必要なのです。
もちろん保護者の皆様は、お子様に対して大きな「愛情」をお持ちのことでしょう。ただ、忙しくなったり、視野がせまくなったりしていると、「関心」の度合いが小さくなってしまうことがあるかもしれません。たとえば、テストの結果を見たときに全体の点数が気になってしまって、子どもがほめてほしいと思っている「漢字が全部できた」というような点を見逃してしまうとか...。
ところで、「愛」という言葉に関して、以前面白い国語の文章を読んだことがあります。
「愛する人」というときの「愛する」は、「人」につながっているので連体形です。連体形が「する」で終わっているので、活用の種類は「サ行変格活用」。となれば、未然形は「愛しない」...あれ? こんな言い方はしませんよね。「愛する」に「ない」をつけると「愛さない」、「ない」の前が「ア段」なので「五段活用」のはず...。
実は種明かしをすると、「愛する(サ行変格活用)」と「愛す(五段活用)」という二つの同意の動詞が存在するのです。そして、つながる言葉に合わせて二つの言葉を使い分けているというのが正解です。ちょっと国文法の余談でした(ちょうどいま、小4は文法単元を扱っていますが、このレベルまでの学習はもちろん必要ありません...)。
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