「読解力向上のためのアドバイス」
2015.10.16
一学期の「クローバーセミナー」にご参加いただいた小学校3年生のお母様から、「アドバイス通りにやらせてみたところ、9月のマンスリーテストで国語の成績が上がりました」とご連絡をいただきました。そのアドバイスとは、このブログではまだ紹介していなかった「読解の基礎力向上」のための学習方法のことです。今回はそのことについて書かせていただきます。
本質的な「読解力」と、国語の問題で必要とされる「読解力」は少し違います。本当の意味での「読解力」はある程度長い文章(本)を読むときに必要になるのですが、国語の学習で必要な「読解力」は出題文をしっかりと読みこなす力のことです。もちろん、その根底にあるものは同じですから、国語の学習を進めることで、本質的な「読解力」も向上していくはずです。
さて、四谷大塚のテキスト(予習シリーズ)でも、それ以外の教材でも、出題されている文章の多くは、その学年の精神的な成長段階と比較をするとレベルが高いものになります。さまざまな経験を積んでいる生徒であれば、もしくは精神的な発達段階が普通よりも高い生徒であれば、ある程度理解することができるのですが、そうでないと内容を理解することそのものが難しい場合があります。しかし、その文章には設問(問一、問二...)がついていますので、たとえ文意がとらえられなくても、解かなければなりません。その結果、「文章を読む(=文意を理解する)」ということよりも、「問題を解く」という作業に力を入れてしまうことになるのです。文意がわからなくても、なんとなく解ける問題もあります(細部に関する問題、接続語とか指示語とか...)が、そういった解き方をしているだけでは国語の点数は伸びていきませんし、得点にムラも出てきてしまいます。
今回のアドバイスは、まず「読む」ことができるようにするためのものです。もっとわかりやすく言えば、「読む」ということは「書かれている内容をしっかりと頭に入れる」ことであると認識させるためのものです。
前述したように、いま現在使っている教材は、現時点における成長段階の一段階上のものなっていますから、お子様がそれを読んできちんと理解するのは難しいはずです。「読ませるための教材」として用意するのは、半年から一年前のテキストにしてください。いま(10月)であれば、予習シリーズの上巻か、もしくは前学年の下巻あたりがよいでしょう。すでに一回扱っている文章なのですが、あえてそれを読ませるわけです。そして、一番のポイントは「読む」ということです。文章には設問がついていますので、「せっかくだから問題も解かせてみようかしら...」と思われる保護者の方もいらっしゃるでしょうが、それをやってはいけません。なぜなら問題に手をつけさせてしまうと、また「解くために読む」というところにお子様は意識がいってしまうからです。「読む」ということに集中できるように、「しっかりと文章を理解する」というテーマにしぼって読ませてあげてください。小3~小4であれば、読み終わった後に、「どのようなことが書かれていたか」と聞いてあげるのも効果的です。「読む力」というのは、スポーツの基礎トレーニングと同じように反復訓練が必要ですから、できれば毎日、もしくは隔日で実施されるとよいでしょう。寝る前にベッドに入ってからでもかまいません。「勉強」というよりも「読書」というような感覚で毎日の生活習慣に入れてしまうことをお勧めします。
やっていただければわかるのですが、半年(一年)前に苦労していた文章がすっと頭に入ってくるはずです。お子様にとっても「しっかり読めた」という感触を得ることができますし、保護者の皆様にとっても、お子様のこの半年間での成長を感じることができるはずです。
最初に書かせていただいた小学校3年生のお母様ですが、実は私が昔池袋校で教えていた生徒です。クローバーセミナーでお会いしてビックリしました。あのときの生徒が、いまは結婚してお子様もいて...。私も年をとるわけですよね。ちょうどこの原稿を書いているときに、今度のクローバーセミナーにご参加される予定のお父様からもお電話を頂戴しました。
今月末(10/29)に今年度第3回目となる「クローバーセミナー」を「牛込箪笥区民ホール」で実施させていただきます。皆様にお会いできるのを楽しみにしております。
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