「算数と数学」
2015.10.21
「算数の問題を方程式で解けば簡単なのに...」そんな風に思われる保護者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。実は私も中学受験の指導を始めたころは、そう考えていました。同じように数を扱う科目なので、「算数」の延長線上に「数学」があると思っていたからです。だから、方程式で解いてから、算数の解法を考えたこともありました。
しかし、算数や数学の講師から話を聞いたり、いろいろな本を読んでみたりすると、算数(特に「受験算数」)と数学では、その学習内容に根本的な違いがあることがわかりました。その学習を通じて身に付けるべき力が違う、と言い換えることもできます。
ひとつ例を挙げてみます。「数学」では、「食塩水」も「速さ」も「売買損益」の問題もすべて方程式で解きます。未知数をxやyとおいて立式するわけです。一方、「算数」では、それぞれの問題に対して、自分の知っている「解き方」を結び付けるために、いろいろと試行錯誤をしていかなければなりません。「算数」で教わる「線分図・面積図・状況図」などは、問題を整理するための道具なのです(一部「解くためのツール」もありますが...)。わかりやすく申し上げれば、数学では「どういう式を立てるか」と考え、算数では「どういう方向から切り崩していけばよいか」と考えるわけです。どちらがよいとか悪いとかという観点での話ではありません。「算数」と「数学」はそもそも違う科目であり、正解に至るまでの道筋が異なるのだとご理解いただきたいのです。
他にも、「中学受験において方程式は使わない方がよい」大きな理由があります。上記のような意図のもと、塾では「算数」としての解き方を教えています。もしご家庭で「数学」を使ってしまうと、お子様は大きく混乱してしまい、どちらの解き方を使えばよいのかが分からず、テストでも中途半端な解き方をしてしまう可能性があります。
一部、「算数」でも方程式的な解き方をする問題もあります。□を求める「逆算」もそうですし、「消去算」では「連立方程式の消去法」のような解き方を教えます。ただ、いずれの場合も、塾では「算数」として教えるようにしています。ご家庭でお子様の算数をご覧になる際の参考になさってください。
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