「合格可能性80%」
2015.10.28
「模試において第一志望校の合格可能性判定が80%にならないんです」というご相談をいただくことがあります。特に10月下旬から11月にかけては、最終的な受験校を決めていく時期になりますので、模試の判定は気になるでしょうし、なるべく高い数字を出して欲しいというのは、受験生の保護者であれば当然のことでしょう。しかし、第一志望校の合格判定で80%というラインをクリアするのは、一般的にはかなり難しいことなのです。
早稲田アカデミーの小6生が必修テストとして受験している「四谷大塚合不合判定テスト」では、合格可能性判定の最高数値は80%です。受験校を決めるときによく使われる「偏差値ランク表」も50%ラインのものと、80%ラインのものがあります。これらの表は「合不合判定テスト」を受験した生徒の志望校をもとに、判定を出しているものになります。
私は、受験校を決める面談において、生徒の偏差値がこの80%ラインをこえている学校に関しては、「合格有望校」と表現しています。試験当日、普段の実力が普通に(100%ではなくても)発揮できれば合格可能性がかなり高い学校という意味です。これはよく言われる「おさえ」の学校として考えていただいてかまいません。ですから、第一志望校が80%ラインをこえていれば、もう1ランク上の学校をお勧めすることもあります。
また、(一部の最難関校を除いて)80%ラインをこえている学校へ進学する生徒の割合は決して高くないはずです。上記のように「おさえ」として受験をしている場合が多く、合格したとしても、さらに上位の学校(第一志望校)から合格をいただければ、そちらへ進学をするからです。学校によっては入学者の多くが合格可能性50%未満というところもあるようです。前回の記事に書かせていただいた「補欠繰り上がり」のことも考えるとご理解いただけるのではないでしょうか。
一方で、合格可能性50%ラインというのは、その偏差値の2人に一人が合格するということになりますから、そこからの学習が大切になります。もちろん「偏差値そのものを上げる」という視点での学習も大切ではありますが、私は、入試の直近3か月に関しては、「総合的な学習をして偏差値を上げる」ことよりも、「第一志望校への合格可能性を高めていく」という点に力点を置くべきだと考えています。50%ラインであれば「合格を勝ち取れる半分に入るための学習」、そんなイメージです。例えば、これが30%であったとしても、合格できる3割に入る、それでよいわけです。逆に、偏差値的には80%ラインに到達をしていたとしても、その学校の出題傾向に合わせた学習をしなければ、「合格することができない2割」に入ってしまうことだってあるのです。
また、学校によってはその出題傾向から、模試の「合格可能性判定」の信頼度が低いという学校も存在します。例えば、一般的に大人数が受験する模試は、採点などの問題もあり記述式設問はそれほど多く出題されません。出題されたとしても、ある程度採点方法がわかりやすいもの(解答に含まれる要素が明確で、この言葉が入っていれば何点というような...)になっています。しかし、学校によっては自分の言葉で記述させ、かつ、その問題が合否に大きく影響するところもあるのです。こういった学校の場合、一般的な模試による判定の信頼度は、それほど高くはないといえるでしょう。
明日、今年度第3回目となる『クローバーセミナー』を牛込箪笥区民ホールで実施させていただきます。今回は『はじめての中学受験 ~親として知っておくべきこと~』と題しまして、中学入試の基本的な部分から、大学入試までを考えたお子様の教育に関してお話しさせていただく予定です。また、今回は前回のセミナーのアンケートに書かれていた保護者の皆様のご質問(不安や相談)などにお答えさせていただくコーナーも設ける予定でいます。
天気予報では、お天気もまずまずのようですので、お気軽にお越しください。会場でお会いできるのを楽しみにしております。
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