「物事の優先順位」
2015.11.25
たとえ「やりたいこと」があったとしても「やるべきこと」があればそれを先に終わらせる。このように、物事の「優先順位」をきちんとつけて、それを守ろうとするのは大人の感覚です。なぜそれができるのかといえば、優先順位を守らなければどのような結果になるかが、大人にはわかっているからです。後で苦労するよりは、先にやっておいた方が心情的に楽になるから、ということもあるかもしれません。
一方、子どもの場合はそうはいきません。宿題があっても友だちが誘いに来れば遊びに出かけてしまったり、見たいテレビ番組が始まれば手が止まってしまったり――。やりたいことを優先してしまうのが普通です。
友だちと約束をしてきて遊びに行こうとしている子どもに、「宿題を終えてからにしなさい」と声をかけ机に座らせたらどうなるでしょうか。多くの皆様が想像される通り、頭は回らず手も動かず、宿題には全く集中できない、という状態になってしまうのではないでしょうか。小学生の場合、「やりたいこと」と「やるべきこと」をきちんと頭の中で整理し、「やりたいこと」を頭の片隅に追いやって、「やるべきこと」に集中するというのはなかなか難しいことなのです。
読書がとても好きな生徒がいました。本を読んでいるときに、家庭学習の時間になったのでお母様が声をかけたところ、「もうちょっと、もうちょっとだけ読ませて......」と懇願することが何度かあったそうで、どう対応したら良いかと相談を受けました。家庭学習の習慣をしっかりと身に付け、学習計画表に沿って学習を進めさせるには、「学習のスタート時間を守らせる」ということはとても大切です。その点で考えると、このケースは「ダメ!すぐに始めなさい!」というのがお母様の正しい対応となります。
ただし、本の続きが気になっていては、その後の学習に集中できないかもしれません。そう考えると、「いまどこまで読んでいるの?きりのよいところになったら勉強するのよ」という答えがあっても良いでしょう。その後の学習効果を優先するならば、少々大目に見てもよいケースだとも考えられます。もちろんこれは、本当に読書に引き込まれているというのが前提です。実際には、勉強にとりかかりたくないから、「もうちょっと読ませて」と言っている場合もあるはずなので、そのときには「きちんと計画表に書いてあるでしょ!」と厳しく声をかけていただけばよいと思います。
小5以上からは、「やりたいこと」よりも「やらなければならないこと」を先に片づける、つまり優先順位を守る方向に少しずつ向かわせていくのがよいと思います。ある程度の「計画性」が身に付いてくれば、「いまやらなければ後で困る」という意識も芽生え始めるはずです。そのタイミングで「自制」することを自覚するようになれば(もしくはそういう意識を持たせるようにすることで)、一段階成長することになります。私はそこからが、「中学受験へ向けた道のり」の本格的なスタートだとも考えています。
今週の金曜日(11/27)には「四谷区民ホール(新宿御苑前)」で今年度第4回目となるクローバーセミナーを実施させていただきます。今回は「中学受験はマラソンレース」と題してお話をさせていただく予定です。今回も多くの方にお申し込みをいただき、誠にありがとうございます。会場でお会いするのを楽しみにしております。
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