四つ葉cafe 福田貴一 中学受験をお考えの小学生3・4年生のお子様をお持ちの保護者の方のためのブログ

「『解き方』と『考え方』」

2016.01.15

早稲田アカデミーでは、1月に全学年において、現学年の「まとめ」の授業を行っています。もちろん、学年や科目によっては新出単元もあるのですが、総じて「まとめ」学習をするイメージです。つまり1月は、現学年の間に身に付けておかなければならないことを確認し、抜けがあればそこを埋めていく期間となります。そこで重要になってくるのが、何を身に付けておくべきかという点です。


国語であれば、学年が上がると、テキストやテストの文章レベルも一段階上がります。現学年の間に、その学年における読解の基本的なフォームを身に付けておくことで、文章の難度やレベルが上がっても、読み解くことができます。一方で、これまで学習した漢字や語句などをすべて覚えておくことはあまり意味がありません。それらの知識は、学年が上がるにつれて自然に定着するものもありますし、新学年での学習でも扱うものもあるからです。


簡単に言えば、「知識」や「解法」を覚えることが大切なのではなく、その学年で必要な「考え方」を身に付けることが重要なのです。


私が小学生の授業を行う際に一番意識しているのは、「考え方を身に付けさせる」という点です。生徒によっては、「解き方を知りたい」と質問にきますが、私は「解き方」だけを教えるような質問対応はしないように心掛けています。まず、「問題を読んでどんな風に考えようとしたの?」と聞き返すところから始めます。自分で考えるように促すことで、そこから「解き方」を見つけるようにさせるのです。単純に「解き方」を教えるのと比べると、ひとつの問題に多くの時間がかかってしまいます。しかし、その「考え方」を理解できた生徒は、次は自分の力だけで問題を解くことができます。一方で「解き方」だけを教えた場合、また同じような問題を質問しにくることが多いものです。


算数を例にして、もう少しわかりやすく説明させていただきます。

図形の問題を解く際に、いたるところに補助線を引いている生徒を見かけることがあります。補助線の引き方(つまり、補助線を引く場合の「考え方」)が身に付いていないわけです。三角形の線分比を求める問題の場合、今までの経験からなんとなく「この辺かな?」と引いた補助線でも解ける場合があります。しかし、それは偶然「当たった」だけで、他の問題でも通用するわけではありません。

 『三角形の線分比であれば、面積比を利用するか、相似を使うはずだ』

⇒『この問題では面積は与えられていないので、相似になるはずだ』

⇒『相似をつくるのには平行線が必要になる』

⇒『どこに平行線を引けば...わかった!』

このような過程が「考え方」なのです。


ところが、先ほど申し上げた「解き方を知りたい」という生徒は、「どこに補助線を引けばいいか」を質問してきます。補助線を引く場所を教えることは簡単ですし、それを聞けば答えを出すことができるので、生徒も安心します。しかしそれでは、次に同じような問題が出てきたときに、また悩んでしまうことになります。


本日は、「考え方」と「解き方」の違いに関して書かせていただきましたが、教授法の本質的な部分になりますので、お伝えするのはなかなか難しい部分もあります。授業での指導に関しては、早稲田アカデミーの講師にお任せいただくとして、保護者の皆様に知っておいていただきたいのは、正解を出す過程として、まず「考え方」があり、そこから「解き方」につながっていくのだという点です。「解き方」にだけこだわるのではなく、まずはどのように「考えるのか」というところを重視するように、ご家庭でもご指導いただければと思います。

同じテーマの最新記事

2017.07.07 『この夏を成功させる5つの方法 ~第2回クローバーセミナーより~』
2017.07.05 『夏をなめるな。』
2017.06.30 「国語の学習に関して③ ~記述力・表現力~」
2017.06.28 「国語の学習に関して② ~読解力とは~」
資料請求はこちら