『自分で考える力を身に付けるためには...』
2016.03.30
「自分で考える力」を付けることが、中学受験の学習をする一つの目的です。また、難関校の合格を勝ち取るためには必要であると、先日の『基礎から学べる中学入試報告会』でお話しさせていただきました。その力は中学入試に必要なだけではなく、将来大学に進学するときにも、大学で学ぶ中でも、そして社会に出てからも役に立つはずです。一方で、今、日本の子どもたちは「自分で考える力」が弱くなっているともいわれています。2020年に予定されている大学入試改革のキーワードとして「知識偏重から思考力重視」が取り上げられるのも、そこからきているのです。
私も生徒を指導する中で、同じように感じることがあります。早稲田アカデミーの授業では、生徒の思考力を喚起するために発問(問いをなげかけること)を行っています。『ここがこうなるから・・・このカッコに入る数字は・・・さて! なんだろう?』というような問いかけです。このような発問をしたときに、その問いに答えようと頭が回転し考えはじめる生徒もいれば、回転がストップしてしまい『誰か答えてくれないかな』『先生、早く答えを言ってくれないかな』というような顔をしている生徒もいます。そして、後者のような生徒が増えてきているように感じているのです。
「自分で考える力」を身に付けさせるためには、どんなに難しい問題でも諦めずに自分で考えるクセをつけていくことが大切です。もちろん、中学受験カリキュラムで学習していく問題の全てを自分で解くことは不可能です。いくら考えても(その時点では)できない問題もあるはずです。しかし、試行錯誤しながらその問題を解くことで、「自分で考える力」はだんだんと付いていくものです。毎週、テストを受けることで学力が上がるといわれます。それは、小学生が一番真剣に問題に取り組むのは、テストのときだからです。誰の助けも借りずに、自分で解かなければならない緊張感と真剣さの中で、「自分で考える」ことを覚えていくのです。
また、「自分で考える力」を養うためには、お子様が保護者の方に質問をしてきたきの対応も大切になってきます。質問をすること自体は悪いことではありません。ただ、質問をして、解答や解説を聞いただけで安心してしまい、それだけで「わかったつもり」になるのは、とてもよくないことなのです。できない問題をそのまま放置しておくことよりも、わかったつもりになってしまうことのほうが、場合によっては危険なのです。
算数の質問を例に書かせていただくと...。
まず、お子様が質問を持ってきたら、まず、どのような問題であったかを問いかけてみてください。たとえば、文章が長かったり、難しそうに見えたりしたことで、その時点で考えるのを止めていたとしたら、その問題の内容を正確に答えることができないでしょう。本気で解こうとして考えてきたのであれば、テキストなどを見なくても、数字なども含め答えられるはずです。お子様がちゃんと考えていなかった場合は、『もう一度考えてきなさい』とつき返すのが一番だと思います。
ある程度まで、考えてきているようでしたら、どこまで考えてきたのかをもう一度説明させてみてください。どんな図を書いてみたのかを再現させてみるのもよいでしょう。そして、その思考過程まで説明できれば、ほとんどの場合、そこからは簡単です。気がついていない点に関してひとつふたつのアドバイスをしてあげることで、正解までたどり着くはずです。
その問題の内容をきちんと理解しているかどうかの確認をすること。次に、どのように考えたかを説明させること。最後に、そこから正解にたどり着くまでの道筋をアドバイスしてあげること。これが質問に答える正しい方法です。実は、一から説明をしてしまった方が時間もかかりませんし、教える側は楽なのですが、その問題で正解をすることよりも、「自分で考える習慣を付ける」ことの方が大切なのだとご理解ください。
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