「失敗させたくない...」
2016.04.13
早稲田アカデミーへの入塾をお考えになっている方から、「小学校受験で失敗させてしまったので、怖くて中学受験への一歩が踏み出せない」というご相談をいただいたことがあります。今回は、お子様にとっての「失敗」とは何なのかについて、考えてみたいと思います。
子どもには辛い思いをさせたくない、失敗をさせたくないという気持ちは、親であれば誰しもが持っている気持ちでしょう。ただ一方で、子どもの将来の成功を願わない親もいないはずです。中学受験を「将来の成功」のための選択肢のひとつとして考えるのであれば、積極的に一歩を踏み出すことが必要だと、私は考えます。
もちろん受験である以上、そこには合格者がいれば、残念な結果に終わる方もいます。不合格を「失敗」と捉えるのであれば、「失敗が怖い」と中学受験を敬遠する気持ちになられるかもしれません。しかし、不合格という結果は、お子様の人生にとって本当に「失敗」なのでしょうか。私は中学受験の成功を必ずしも合格することだとは考えていません。同じように不合格という結果も失敗とは呼べないと考えています。
毎年新年度がスタートする時に、小6受験生に対して『受験の成功・失敗』という話をします。そのなかで「合格することが成功なのだとしたら、たとえば隣の生徒の答案を見て、それを写して合格しても成功と言えるのか」という問いかけをします。子どもたちからは「それは成功ではない」「よくないことだ」という答えが返ってくるのですが、そこで私は、「なぜ成功ではないのか、よくないことなのか」も考えさせるようにしています。子どもたちはもう一度考えて、最終的には「自分の力で合格しなければ、入学してもついていくことができないから」という答えに行き着きます。
入学試験とは、その中学校で学ぶのにふさわしい力を持っているかどうかを試すためのものです。つまり、そのための力を蓄えることができれば、それが成功...と生徒たちには話をしています。
中学受験のための学習を進めていく過程において身に付くものが、大きく二つあると考えています。一つは『大きな目標に向かって真剣に取り組む経験』であり、もう一つは『深く考え、判断していく力』です。もちろんそれ以外にも、たくさんの知識や、素早く正確に処理をしていく力も身に付くでしょう。そして、それらの経験や力は、お子様方の今後の人生において、必ず生きてくるものであると考えます。そう考えた場合「中学受験に失敗はない」というのが、私の結論なのです。
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