四つ葉cafe 福田貴一 中学受験をお考えの小学生3・4年生のお子様をお持ちの保護者の方のためのブログ

『子どもの気持ち ~常に高いモチベーションを維持するのは難しい~』

2016.05.20

新学年がスタートした2月から3か月半が過ぎました。学校でも新学年になってから1か月半が経過して、そろそろいろいろな意味で落ち着いてきた頃かと思います。その一方で、新鮮さが失われ、学習に対するモチベーションなどが下がってくる時期でもあります。5月から6月にかけては、「お子様のやる気」に関するご相談をよくいただきます。常に高いモチベーションを保ち続けるのはなかなか難しいことです。大人でも気持ちにムラがあるわけですから、小学生の子どもの場合はなおさらそうでしょう。小学生の場合、学校だけではなく塾や習い事などでもいろいろと気持ちの変化につながるようなことがあるはずです。サッカーの試合が間近になれば学習に対するモチベーションは下がるでしょうし、学校の友人関係でいやなことがあれば塾での集中力にも影響してきます。そんなお子様の気持ちを見守って、うまくコントロールしていただきたいと思います。


「他人の気持ちを理解する」というのは、とても難しいことだと思います。しかし、人間は一人では生きていけないのですから、常に他者とのコミュニケーションを意識しなければなりません。


国語では、心情をとらえる問題がよく出題されます。登場人物が置かれている状況や背景を理解し、気持ちが動く原因となる出来事を読み取り、そしてその結果生じた人物の行動や表情・会話から気持ちを推測する、といった手順で考える問題です。はじめのうち(低学年のうち)は、「泣いている→悲しい」「笑っている→楽しい」というように、表に出てきた「行動・表情・会話」だけを根拠に気持ちを読み取ろうと考えてしまいがちです。その次の段階になると、結果として同じ行動であったとしても、その原因となる事実によってさまざまな心情が生まれることがわかってきます。そして、人物が置かれている状況や背景まで考えて心情を把握することができるようになれば、中学入試の準備としてはOKです。


さて、国語の問題で出される「気持ちの理解・読み取り」の解き方は、ある程度パターン化されたものです。ところが、実際の社会や生活の中では、そう簡単にはいきません。それぞれの「背景」や「置かれている状況」は実にさまざまです。さらに、その人の「考え方」や「価値観」まで理解しなければ、本当の気持ちまではわからないはずです。


実は、お子様への接し方の基本がここにあるのです。精神的にまだ成長過程にあるお子様には、大人の価値観が当てはまらない場合が多くあります。よくいわれることですが、お子様は成長に伴って、意識する対象が変わっていくものです。はじめは親や先生といった「上」への意識が強く、成長するに従って、次第に同学年の友人やライバルという「横」を意識するようになります。そして最後に、「自分の理想や夢をかなえるため」という「下(内・自分)」を意識するのだそうです。もちろん、決まった時期にその年代のお子様の気持ちが一斉に切り替わるということではありません。小3から小4くらいの時期では、まだ「上」への意識が強く、精神的な成長が早いお子様でも「横」へ向けた意識が芽生えはじめたくらいでしょう。


たとえば「勉強」に対してのモチベーションを上げることを考えても、この点を理解して接することが必要です。「自分のためなんだからがんばりなさい」という言葉は、勉強することが将来の自分のためになる、ということを教えるためには大切な言葉です。しかし、意識がまだ「上」や「横」にしか向いていないお子様にとっては、その言葉を本質的に理解するのは難しいでしょう。「自分のため」と言われたからといって、すぐに「よしがんばろう!」という気持ちにはならないのが普通です。小3・小4のお子様は、親や先生に「勉強すること」・「テストを受けること」、そのこと自体を褒められることによって、勉強に対するモチベーションを上げていくのです。子どもの価値観や気持ちを理解したうえで、お子様のやる気を効果的に支えてあげてください。

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