四つ葉cafe 福田貴一 中学受験をお考えの小学生3・4年生のお子様をお持ちの保護者の方のためのブログ

『人生を左右する問題』

2016.09.14

今年は、8月の終わりから台風が頻繁に発生しています。なかには10号のように特殊な動きをするものもあり、テレビのニュースなどでも台風について触れられることが多くなっています。来年の中学入試の理科でも、台風に関する問題が出される可能性は高いと思います。よくいわれる「時事問題」というものです。


さて、入試問題はいつ頃つくられているのでしょうか。一般的には「夏休み中」につくられることが多いようです。そう考えると、秋以降に突発的に起こったことに関する「時事問題」が出題される可能性は、それほど高くないことになります。


もちろん、出題されないわけではありません。高校入試の話になりますが、大江健三郎さんがノーベル文学賞をとった年の翌年(1995年)の慶應義塾の附属高校で、前年の12月7日に行われたノーベル賞晩餐会の基調講演「あいまいな日本の私」が出題されたのを見て驚いたことを覚えています。中学校入試おいても、学校によっては、大きな事件が起こった際は、問題を差し替えるところもあると聞いたことがあります。


私の父はある大学の教授をしていました。ある年の夏、普段は家の書斎で仕事をすることが多い父が、大学の研究室にこもって仕事をしていました。講義やゼミがない日でも、朝から大学に出掛けていたので、母と「論文原稿の〆切でも迫っているのかね」と話をしていました。父親の仕事の内容に関しては、ある程度把握をしていた母も、そのときはどんな仕事をしているのか、なぜそんなに忙しくしているのかを知らないようでした。


年が明けた2月か3月に父が話をしてくれました。「実は今年の入試問題は僕がつくったんだ」と。そこからは自分がつくった問題がどれくらいよい問題だったのか、どれくらい苦労してつくったのか、といった自慢話になっていきました。そこで話をしてくれたのですが、大学の入試問題を作成するというのは家族にも秘密にしておかなければならないことなのだそうです。万が一漏えいでもしたら大変なことになるからという話も聞きました。そのときに父が言った一言を今でも覚えています。「入試問題というのは、受験生の人生を左右する問題なんだ」という言葉でした。だから、絶対に漏れるようなことがあってはならないし、苦労して作成し、複数でチェックしたうえで、吟味をする、そんな話だったわけです。


生徒の指導にあたるときに、私の心の中に常にある言葉です。それぞれの生徒が、これから迎える入試は、「人生を左右する試練」であるのだと。さらに、そのためにそれぞれの中学校の先生が心を込めて、一生懸命つくった入試問題なのだと。そこに向かわせるために指導をしている我々としても、それに見合った覚悟と意識を持って、毎日の指導にあたらねばならないと。そんな思いでこれからも指導にあたっていきたいと考えております。

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