四つ葉cafe 福田貴一 中学受験をお考えの小学生3・4年生のお子様をお持ちの保護者の方のためのブログ

「算数の読解力」

2016.09.23

「昨日(9月22日)は秋分の日で、昼と夜の長さが同じでした。三か月後の12月21日は冬至で、昼の長さが夜よりも2時間短くなります。冬至の日の昼の長さは何時間でしょう」という算数の問題を考えてみます。早稲田アカデミーのカリキュラムでは小学校3年生で出てくる内容です(ちょうど今週、学習をしています)。


まずは余談ですが、理科として考えると上記の問題には少しおかしなところが出てきます。春分の日、秋分の日は一般的には「昼と夜の長さが同じ日」とされていますが、厳密にいうと違うそうです。「日の出」や「日の入り」の定義なども考えると、7~8分ほどの違いがあるはずです。今回の問題は、理科ではなく小3算数の問題となりますので、文中に与えられている条件が正しいと仮定をして、お考えください。


さて、では問題に戻りましょう。気づかれた方も多いと思いますが、この問題は単純な和差算の内容です。答えを出すための式は...

(24-2)÷2=11  答 11時間

となります。


「AくんとBくんが合計で24個のアメを持っています。Aくんの方が2個多く持っているとすると、Bくんは何個持っているでしょう」という問題と考え方はまったく同じです。しかし、アメの問題はできても、冬至の問題ができない生徒が多くいます。それは文章題を読んだときに、書かれている条件をしっかりと理解し、不必要な情報は削り、必要な情報は補って、最終的に問題の本質と解法に行きつくという経験が不足しているためです。


算数の授業では新しい単元を学習するときに、解法(解き方)をまず初めに教えます。「和差算」であれば「線分図」を書いて解く、といった方法になります。そこから、いろいろな形で出される文章題に挑戦していきます。


冬至の問題をくわしくみてみましょう。日付が書いてあったり「三か月後」という条件が書いてあったりしますが、これらはすべて不要な情報です。これらの不要な情報を削り、シンプルな形にすると「昼の長さが夜の長さよりも2時間短い日の昼の時間は何時間でしょう」という問題になります。実はここまできても、なかなか正解にたどりつけないケースがあります。なぜだと思われますか。アメの問題と比較をしていただければ一目瞭然です。アメの問題では「24個」という合計数(和)が書かれていますし、「2個」という差もありますので、すぐに「和差算」だと気がつきます。一方で冬至の問題では「一日は24時間」という前提が書かれていませんから、そこを頭の中で補うことが必要なわけです。大人からすれば至極当たり前のことでも、小学生にとっては、気がつかないポイントだったりします。


よく「算数の文章題を解くためにも読解力が必要」といわれます。読解力といっても、国語で学習する「読解力」とはまた違うものなのです。「何を問われているか」をしっかりと読みとり、文章中に書かれている条件を整理分析し、解法に至る道筋(「解答に至る」ではありません)をきちんと考える...それが「算数に必要な読解力」なのです。

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