四つ葉cafe 福田貴一 中学受験をお考えの小学生3・4年生のお子様をお持ちの保護者の方のためのブログ

『ノーベル文学賞と適性検査』

2016.10.14

ここ数回の記事で書かせていただいていました「ノーベル文学賞」が発表になりました。昨晩からテレビのニュースや新聞でも取り上げられていますので、皆様もすでにご存じの方も多いと思いますが、ボブ・ディランさんが受賞されました。村上春樹さんが受賞されなかったのは残念なのですが「まさか、ボブ・ディランさんが...」と私もビックリした次第です。「初の音楽家が受賞!」と報道されていますが、中には「音楽というのは、歌詞とメロディーがひとつになって作品となるので、詩人として評価されるのはどうか」というような批判的な意見もあるようです。その辺りの基準についてはよくわかりませんが、「文学賞」という範囲を大きく広げて、「言葉を使った作品」としてとらえたとすれば、よいことなのではないでしょうか。そもそも、「ノーベル文学賞」は「作品」にではなく「作家(個人)」に与えられる賞なのですし...。


受賞のニュースを聞いて、ふと思い出して村上春樹さんの作品をいくつかひっぱり出してきました。たしか、作品の中にボブ・ディランさんの曲が出てくるシーンがあったはずだと思い出したからです。村上春樹さんの小説には、たくさんの音楽が出てきます。クラッシックからジャズ、ロックやポップスまで。昨晩ちょっと読み返してみたところ、デビュー作の『風の歌を聴け』にもボブ・ディランさんの曲が出ていたのですが、私が好きな『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』という小説の中には、かなりの数の曲が使われていました。ご興味のある方はご一読いただければと思います。


実は、もし村上春樹さんが受賞した場合、中学入試に使われそうな作品を考えていました。小説は入試問題の出典としてはなかなか難しいと思うのですが、随筆などは使われてもおかしくないものがいくつもあります。実際に昔(もう20年近く前だと思うのですが...)、早稲田大学高等学院の入試では『やがて哀しき外国語』というエッセイ集からの出題があったはずです。


ボブ・ディランさんの歌詞が中学入試に出題されるとは思いませんが、高校入試の英語などでは、もしかするとあったりしてもおかしくないかな、とも思っています。それほど複雑な英語表現が使われている歌詞ではないので。


「ノーベル文学賞」がボブ・ディランさんという音楽家に与えられた、そんなニュースを聞きながらふと思ったことがあります。最近の中学入試では「適性検査」という入試が行われています。公立中高一貫校の入学者選抜では「学力検査(試験)」は行ってはいけないことになっていますので、「適性検査」となっています。「学力を試す」のではなく、「その学校への『適性』を試す」という意味あいでの試験ということです。科目としての学力を試すわけではないので、科目横断型の出題になっているのが特徴です。また、知識を問うのではなく、分析力や応用力・表現力を試すことを目的に、記述式または意見作文のような出題が多くなっています。公立中高一貫校を目指す受験生の増加に伴って、私立中学校でも「適性検査型入試」を導入する学校も増えてきています。


こういった問題を解くためには、幅広く身に付けた知識を応用できる力が必要になってきます。何かの型やパターンにはまった思考をするのではなく、広い視野を持って考察するという力が必要になってくるわけです。算数的な思考と理科的な知識を融合させたり、国語的な読解力が必要な社会的思考の問題に取り組んだり...。そんな、ある意味「クロスオーバー」的な考え方と、「文学賞を音楽家が受賞する」というところが、どこか重なりました。これからの社会や世の中をなにか暗示しているようにも思われて。


ちなみに「風に吹かれて」は、ギターで弾けます。高校生のときに練習しました。

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