「『ほめる』と『しかる』②」
2016.11.11
[前回に引き続き、「ほめる」と「しかる」をテーマに書かせていただきます。前回は、「お子様の存在そのものを肯定してあげてください」、逆に、「人格を否定するような言葉は避けてください」というテーマでお話しいたしました。今回は、具体的な行動を「ほめる」「しかる」といった内容になります。
自己肯定感が高く、勉強もある程度軌道に乗っているようであれば、その「やる気」を継続できるように働きかけることが必要になっていきます。そこで効果的なのが、具体的な行動や結果を「ほめる」ことです。ところがこれがなかなか難しいのです。
小学生のお子様の行動は大人の目から見ると、まだまだ物足りなくうつることが多いものです。家庭学習についても、「もっと集中してほしい」「もっと長い時間がんばってほしい」、と思われることもあるのではないでしょうか。そんな風に感じられたときには、半年前、二か月前のお子様を思い出してみてください。きっとお子様が成長していることに気が付くはずです。過去のお子様を評価の基準とすれば、行動において「ほめる」べきポイントが見えてくるはずです。万が一、過去と比較して悪くなっていれば、その点を具体的に注意すればよいのです。
テスト結果が返されたときに、得点や偏差値を見て「ほめる」「しかる」のは簡単です。前回よりよい結果だったり、目標としていた点数(偏差値)を越えていたりする場合は、手放しでほめてあげてもよいでしょう。一方で、予想外に悪かった場合には、お母様が悲しい顔をすることもときには必要です。
ただ、点数の良し悪しだけで、ほめたり叱ったりしていると、点数さえ取れていれば何をしてもいい、と思ってしまう危険性もあります。また、お子様が納得できないような「叱り方」(ほめ方もですが)をされた場合、学習に対する前向きな気持ちが損なわれてしまうこともあります。そうならないためにも、結果を正しく「評価」してあげるようにしてください。結果に関しては、「ほめる」「しかる」よりも「評価をする」ことの方が大切だと、私は考えています。「計算問題と一行問題がすべて正解だったのはよかったね」「記述問題で空欄を残してしまったのは、よくなかったね」というような「評価」です。「今回は漢字練習をしっかりしたから、満点が取れたのよ」という言葉の中には、直接的な「ほめる」言葉は含まれていませんが、お子様にとっては「がんばったね」「よくできたね」以上にうれしい言葉のはずです。
「怒る」→「叱る」→「注意する」→「評価する」。私が生徒を指導する場合、「怒る」ことはしないようにしています。基本的には「評価する」「注意する」というレベルですが、ときには「叱る」まですることはあります。「怒る」というのは「感情的に叱る」ということだと考えていますので、生徒に対して「感情をぶつける」ようなことは絶対に避けるようにしています(というよりも生徒に対して「感情的」になることはありませんが...)。
親子の場合、「感情的」にならないようにするのは、なかなか難しいことでしょう。ただ、やはり「負」の感情をお子様にぶつけることは避けたいものです。大人の「マイナス」の感情をぶつけられた子どもは、それを処理することができないはずです。自分の中でため込み、心を傷つけてしまうことにもつながってしまいます。
逆に「プラス」の感情は伝えることでよい結果が生まれるはずです。お子様だけではなく、大人でもそうだと思いますが、自分がやったことで誰かが喜んでくれる、そう思えればより前向きな気持ちが生まれてきます。それが親のできる一番大きな、お子様への応援であり、サポートであると、私は考えています。
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