『言葉の意味を調べる』
2016.11.30
前回のブログでは、「辞書ではなく、タブレットで調べることが多いのですが、それに頼り過ぎていいのか不安です。(小3女子保護者様)」というクローバーセミナーのアンケートに書かれていたご質問に対して、「タブレットに触れる」という点に関していくつかの切り口で書かせていただきました。今回はその続きとなるのですが、「辞書を使って言葉を調べる」ということについて書かせていただきます。
結論から申し上げますと、文章を読んでいる途中で辞書やタブレットなどを使って、わからない言葉を調べるということは、あまりお勧めしていません。「調べる」という行為そのものは、もちろん悪いことではないのですが、ポイントは「文章を読んでいる途中で」というところにあります。
文章を読み進めていくときは、当然、そこに書かれている内容全体を理解しようとするはずです。説明的文章であれば、論理的な思考回路が働いているでしょうし、物語や小説などでは登場人物に感情移入をしながら読み進めていくわけです。しかし、途中でわからない言葉が出てくる度に、読むのを中断して辞書などで調べると、「思考の動き」そのものも止まってしまうことになります。たとえ言葉の意味がわかって、また読み始めたとしても、「思考の動き」がすぐに再開するわけではないことはご理解いただけるでしょう。結局、文章の全体像がしっかりとつかめないまま「読んだつもり」になってしまったり、もう一度初めから読み返したりすることになってしまうのです。
では、文章を読んでいてわからない言葉が出てきたときにはどうすればよいのでしょうか。大人が読むときと同じように、前後の内容や字面から推測していくことが必要になります。「たぶんこんな意味かな」と推測しながら、読み切るようにトレーニングを進めていくことが大切なのです。このトレーニングを積み重ねていくことも国語の大切な学習のひとつだと考えています。「言葉に対する感覚」を高めることにもつながりますし、さらにはその言葉を「自分の語彙」とすることにもつながります。調べた言葉よりも、自分で意味を考えた言葉の方が、頭の中にはしっかりと残るはずです。もちろん意味を間違えて覚えてしまってはよくありませんから、文章をすべて読み終わったあとで(もしくは問題を解き終えたあとで)、わからなかった言葉をしっかりと調べることは、良い学習といえます。
中学入試でも高校入試でも試験会場に「辞書」を持ち込むことはできません。ですから国語の問題を解いているときにわからない言葉があったとしても(というよりも入試の出題文では、わからない言葉のひとつやふたつは出てくるのが普通です)、そこで思考を止めるのではなく、言葉の意味を自分で考えながら読み進めることが必要になるのです。
さて、お子様が国語の文章を読んでいるときに、「○○ってどんな意味?」と聞いてくることはないでしょうか。一般的に私は小3くらいまでであれば「聞かれたら答えてください」とお話ししています。「文章を読む」という一連の思考の流れを止めないために、パッと答えてあげた方がよいというのがその理由です。ここで「自分で調べてごらん」と進めてしまうと、「調べる」ことに思考がいってしまうことになります。
小4以上になってくると、「自分で考えて読み進めてごらん、と答えてください」というように切り替えていきます。上記のような「自分で意味を推測する」というトレーニングにつなげるためです。もちろんここは個人差が大きい部分です。それまでの文章読解経験や精神的な発達段階にもよりますので、お子様の状況を見ながら切り替えるようにしていただければと思います。
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