『お子様への接し方のアドバイス ~クローバーセミナーアンケートより』
2019.11.13
先日行ったクローバーセミナーのアンケートにおいてご質問が多かったのが、「子どもへの接し方」「ほめたり叱ったりというときの方法」などです。今回の記事では、その点について触れさせていただきます。
子育ての本などによく書かれているのが、お子様を叱るときなどには(ときにはほめるときにも)、「○○ちゃんはできているのに」という他人との比較はしない方がよいと言われます。誰が聞いても「なるほどなぁ」「その通り」と思われる意見です。自分に置き換えてみても、他者と比べられて欠点やできていない点を評価されれば、決してよい気持ちにはならないでしょう。
それではどのように叱れば(ほめれば)よいのでしょうか。私は「過去のお子様の状況と比較して評価する」ということをおすすめしています。半年前にはできなかったことができるようになっていれば、そこをほめてあげることで、お子様は「やる気」を高めるはずです。そして、お子様を伸ばすために必要な「自信」や「自己肯定感」にもつながります。
以前、小学校3年生の算数の授業で、フリーハンド(定規を使わずに)でまっすぐな線を書くのが苦手な生徒がいました。ノートに線分図を描くときに、どうしても曲がってしまって、何度も消して書き直していました。ご家庭でも何度も練習したようです。ある授業のとき、少しうまくなっていたので「図を描くのがうまくなったね」とほめてあげました。少し前のノートのページと比べて、「このときよりもずっとよくなっている」と話をしたところ、とてもうれしそうでした。そこから算数をとても好きになってくれました。それにともなって成績も向上していきました。
「うまくなった」と書きましたが、実はその時点でも標準的なレベルまでは到達していませんでした。クラスの中にはもっとうまく描くことができる生徒はいました。「以前よりもよくなっている」ことを評価せずに、他の生徒と比較をして「まだ足りない」と評価をしてしまえば、きっと悲しそうな表情になったことでしょう。
学習の仕方などに関しては、以前と比較をして「悪くなって」しまっている場合があるはずです。家庭学習のスタートの時間について、以前は時間になるとすぐに机の前に座っていたのに、最近はなかなか始められない……小3から小4になると多くの保護者の皆様が感じられる悩みのはずです。このケースでは「前はできていたのに……」とお子様に指摘をして、なぜ今できなくなっているのかをご一緒に考えていただくのがよいと思います。
成績データとして出てくる「偏差値」は母集団と平均点で決まる値です。結果として、他の受験者との比較がなされている値になります。入学試験もライバルとの競い合いになります。そう考えると「他者と比べて」という観点も必要にはなりますが、それは大人の視点です。特に小3~小4の発達段階では、友達やライバルを意識するよりも、親や先生という「上」の存在への意識が強い時期ですから、「誰かと比べられて自分の劣っている点を指摘される」ということは、自分のすべてを否定されてしまったようにとらえてしまう危険性もあるのです。
お子様は日々成長していますから、過去の状況と比較をすれば、ほとんどの場合で「ほめてあげる」ことができるでしょう。「子どもはほめて育てた方がよいとよく聞くのですが、なかなかうまくほめてあげることができなくて……」というようなお話もよく聞くのですが、「過去のお子様自身と比較をする」という視点で接していただければ、お子様が成長していることがお分かりになり、きっとたくさんほめてあげることができると思っています。
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