『ていねいに学習する ~ハノイにて~』
2019.10.09
前回の記事で、海外の提携塾の保護者の皆様へ向けた講演会のためにベトナムに渡航するということを書かせていただきましたが、無事に帰国いたしました。ベトナムの首都、ハノイにある「ウイング ハノイ校」と共催で講演会を実施させていただきました。ご参加いただいた皆様、また「ウイング ハノイ校」の皆様、本当にありがとうございました。
ハノイでの講演会の様子
今回の渡航では、10月6日(日)の午前中に「中学受験講演会」、午後には「高校受験講演会」と2部構成で実施させていただきました。首都圏における中学・高校の入試概況についてお話したあとで、小学生・中学生のこれからの学習方向性について触れました。中学生においては、高校に進学した3年後には大学入試が待っていますので、現在話題になっている「高大接続改革」を中心に、高校受験でどのような力が必要となるのか、大学進学のための道筋などについてもお話しております。
小学生(中学受験生)の保護者の皆様へは、「中学入試へ向けてお子様を伸ばしていく方向性」として、以下の4つのポイントをお話しいたしました。
・自分で考えることができるタイプ ・ていねいに学習できるタイプ ・興味関心の幅が広いタイプ ・明るく前向きなタイプ
4つのポイントの中で少し詳しく触れさせていただいたのが、2つ目の「ていねいに学習する」という内容です。「ていねいな学習」というと、算数の筆算で定規を使ったり、漢字をマス目にきちんと書いて覚えたり、というような学習スタイルが思い浮かぶのではないでしょうか。言い換えれば「ていねいに学習するための作業をする」というイメージです。しかし、私がここで申し上げた「ていねいな学習」というのは「作業」の方法ではありません。ひと言で言ってしまえば「ていねいに『考える』」というイメージです。問題を見たときに、「難しい」と感じて考えるのをやめてしまうのではなく、もしくは「なんだ、簡単だ」と思ってすぐに作業を始めるのではなく、いったんしっかりと自分の頭の中で「考えて」から取り組むという意味での「ていねいさ」だとご理解ください。
講演会にご参加いただいた方の中には、ハノイで暮らしているお子様(小学生)もいらしたので、「24×25という計算はどうやってやる?」という問題を投げかけてみました。すぐに筆算を始めてしまうお子様もいらっしゃるのではないかと思いますが、ちょっと考えて「25を4倍すれば100になる。24は4×6に分解できる。答えは600」と頭の中で「考えて」正解にたどり着くお子様もいらっしゃるでしょう。この「考える」という経験を積ませていくことが、中学入試のためにももちろん必要ですが、さらに将来に向けて小学生の間に行っておくべきことだと私は考えています。そんなお話をさせていただきました。
中学受験の部・高校受験の部、それぞれでお話しさせていただいたのが、「日本とは違う環境」で生活する中で培われる「異文化との接触、そしてそこから身に付く他者に対する理解と許容する力」を大切にしてもらいたいということです。これからの社会(日本だけでなく世界の中で)は「ひとりの天才が努力によって成果をあげる時代から、能力の高い個が集まってチームでより大きな成果を求める時代」になっていくといわれています。というよりも、すでにそういう時代になってきていると個人的には思っています。そしてそのチームは自国だけではなくさまざまな国の人間で構成されていくはずです。そしてそんなチームの中で働くときに必要になってくるのは、単なる知識や語学力だけではなく、お互いの信頼関係であり、他文化や他国の考え方に対する「理解」と「許容」なのだと思うのです。海外で暮らしている経験は、そういった視点で考えると必ず将来のためになるはずです。そんな話で講演を締めくくらせていただきました。
飛行機の中や現地についてからも、講演の準備などでバタバタとしていましたので、観光などはほとんどできませんでしたが、やはり異国の空気を吸うのは気分転換になりました。フォーやバインミーなどもとても美味しく……。
ベトナム料理というと「生春巻き」が有名ですが、実はハノイなどの北部では「生春巻き」を揚げた「揚げ春巻き」の方が一般的に食べられているそうです。ご存じでしたか?
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