『集中できる家庭学習環境を……』
2021.12.08
以前、小6受験生のお母様から「早稲田アカデミーの椅子はどこで買えますか?」というご相談をいただきました。詳しくうかがったところ、お子様から「今年の誕生日プレゼントに早稲アカの机と椅子がほしい。あの椅子に座っていると勉強がはかどるから」というリクエストがあったそうです。椅子は既製品なのですが、机は早稲田アカデミーの教室のサイズと生徒の学習効果を考慮してつくられている特注品なので、個人では購入できないことをお伝えさせていただきました。そのお子様は、「じゃあ、塾でがんばる」と言って、それまで以上に授業に集中するようになりました。
「家庭学習の時間はちゃんと取っていて、勉強もやっているように見えるけれど、それが結果につながらない」というご相談をいただくことが多くあります。多くの場合、詳しくうかがってみると、「かけている時間と比較して、内容が薄い学習」になっているケースがほとんどです。特に小学生の場合は、「ダラダラとした長時間学習」よりも、「短時間での集中学習」の方が高い学習効果を得られると、私は考えています。集中して学習することで、学習内容の定着度が高まると言い切ってもよいかもしれません。
「のんびり」という言葉でもよいですが、「ダラダラ」というイメージの長時間学習のときは、「頭脳の回転スピード」は決して速くはないでしょう。一方で「短時間での集中学習」における「回転スピード」はかなり速いはずです。そして回転が速ければ、学習内容の定着度合も高くなるのです。
漢字テストでなかなか満点がとれない生徒がいました。家庭学習では「漢字練習帳」に何回も書いて練習するという方法をとっていたのですが、それを変えることを提案いたしました。「毎日5分間だけじっと見る」「書いて練習するのは国語の授業前日の夜の1回だけ」という方法に切り替えてもらったのです。初めのうちはなかなか慣れなくて戸惑ったようですが、それまで毎日20~30分かけていた漢字練習が5分だけになったので、逆に「集中して取り組む」ようになり、二週間後には満点がとれるようになりました。そのスタイルが合ったためか、漢字だけではなく、他科目の暗記学習などにも効果が出るようになり、半年後には全科目の成績が上がっていました。
初めにご紹介した「椅子」の話になるのですが、家庭学習において集中できる環境を整えるのは、成績を上げるためにはとても大切なことです。小学生の場合、学習する場所は「リビング」で構わないと思っています。高学年になって、ある程度一人でも集中できるようになり、さらに「自制心」もついてくれば、「自室学習」でもよいのですが、低学年から中学年の間は「誰かの気配」が感じられるところの方が、安心して学習に集中できるというお子様が多いようです。中学受験に合格されたご家庭にお話をうかがっても、最後まで「リビング学習」を継続されたという方も多くいらっしゃいました。ただ、私は「学習場所は(できれば)学習するためだけの場所」であることが望ましい、とお話しさせていただいています。
自室に自分専用の学習机があるというお子様もいらっしゃるでしょう。「そこでは勉強しかしない」と決めていれば、学習に対して集中できる場所になるはずです。しかし、読書もしたり、ゲームもしたり、ということになってしまうと、結果としてそこは「学習に集中できる」場所ということにはならないものです。「ここに座ったら勉強をする」という気持ちになるためにも、「学習しかしない場所」という環境がよいと思っています。
年が明ければ、すぐに新学年に切り替わります。
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