『行ってみたい場所』
2021.12.17
12月の小学6年生の授業の中で、「入試が終わったら、行ってみたい場所はある?」という質問をすることがあります。するといろいろな答えが返ってきます。「北海道!」「沖縄……かな」「おばあちゃんに会いに行く」などなど……。
入試に向けて緊張感が高まっていく時期ですので、あえて「入試が終わったあと」のイメージを持たせて、少し気分転換をさせるような会話です。第一志望校の入試が間近に迫ってきているなかですが、それを乗り越えたあとにも、彼らの人生は続いていくわけです。ですからそこに向けて明るいイメージを持ってもらうことで、目の前の学習により集中して取り組めるようになると考えています。小学校を卒業したあとの「春休み」、中学生として初めての「夏休み」、入試というひとつの試練を乗り越えた先の「明るい未来」を信じて、ここからの入試直前期を笑顔で乗り越えていってもらいたいと思います。
先週のニュースで、スペインの「サグラダ・ファミリア(聖家族教会)」に新しい塔ができたという話題をやっていました。サグラダ・ファミリアは中学生のころからずっと行ってみたいと思っていました。美術の教科書だったような覚えがあるのですが、そこに載っていた写真を見て、さらに「完成まで300年以上かかる」という説明を見て、「ぜひ見てみたい、いつか行ってみたい」という想いが芽生えました。「美しさ」とかではなかったような気がします。「壮大さ」という表現が近いような気もするのですが、何か「心惹かれる」ものがあったのだと思います。
20代前半のとき、ヨーロッパに比較的長い期間滞在していました。そのときに「ユーレイルパス」を使って、ヨーロッパの多くの国や都市を訪問しました。まず初めに選んだのが、バルセロナです。アントニオ・ガウディが設計した「グエル公園」や「カサ・ミラ」なども回りましたし、「ピカソ美術館」などにも行ったのですが、やはり「サグラダ・ファミリア」の前に立ったときの感慨は忘れられません。「遠いところまで来た」という想いもあったでしょうし、「長い間来てみたかった」という感慨もあったのだとは思いますが、少しの間動けずに塔を見ていました。
サグラダ・ファミリアの着工は1882年だそうです。そこから300年というと2182年に完成ということになるのですが、その間に老朽化が進み修繕する必要が出てくるために、「永遠に未完成の建築」と言われていたようです。詳細な設計図が存在しておらず、ガウディの書いたイメージ図をもとにつくり始められた点、ガウディ自身が不慮の事故で亡くなってしまった点、さまざまな資料もスペイン内戦で散逸してしまった点などから、完成まで300年という計算がされていたようです。しかし、今回のニュースではガウディ没後100年にあたる2026年の完成を目指して作業が進んでいるという話でした。1984年に世界遺産に認定されたこともあり、費用の調達が進んだこともあるようですが、何よりも技術の発達によるところが大きいようです。3D技術を用いて図面の作成などが行われ、それをもとに建築が進むなかで、工期短縮ということになったという話でした。2026年ならば、完成した姿をもう一度見に行くことができると思いますので、今からとても楽しみです。
皆様にもそんな「憧れ」のような場所はありますでしょうか。もしありましたら、お子様にお話しいただくのもよいかもしれません。お父様やお母様が、そんな想いを持っていらっしゃるということを教えていただくのも、お子様の成長のためにはよいことだと思います。
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