『「幹」を鍛える』
2022.04.13
「ゴールデンエイジ」という言葉をご存じでしょうか。子どもの身体能力・運動能力が大きく発達する時期のことで、年長から小6までを指すのが一般的です。「神経回路や神経系の発達」「筋肉や骨格系の発達」などで細かく分類する考え方もあるようです。
私は年長から中学生まで、スイミングクラブに通っていました。いまではスイミングは一般的な習い事ですが、当時はそこまでではありませんでした。同学年でスイミングクラブに通っていた生徒は、100名中5名くらいだったような記憶があります。ですから、夏の体育でプールの授業になると「ヒーロー」でした。小学校でも中学校でも、学校を代表して参加する区の大会では表彰状を何枚ももらうことができました。学校の朝礼で校長先生から表彰状をいただいたときの、誇らしいような照れくさいような気持ちを覚えています。小学5年生から6年生の一学期までは、選手コースに在籍していたので、夏でも冬でも週に5日プールに浸かっていました。
スイミングクラブで身体を鍛えていたからのような気がするのですが、この年齢になっても比較的身体は丈夫な方です。特にバランス感覚や身体的な反応能力は鍛えられたように思っています。筋力などは落ちてしまっていますが、体幹は維持できているようで、電車の中で立っていて電車が揺れてもあまりふらつかないでいられるように感じています。また、年齢的には気になる「腰痛」もほとんど経験したことがありません。
「体幹」とは、身体の「幹」ということで、「胴体」を指す言葉です。「手」「足」「頭」の機能を働かせるための胴体、つまり胸から腰までをしっかりとつくるというのが「体幹を鍛える」という言葉の意味のようです。私の場合は、ゴールデンエイジに水泳によって体幹が鍛えられたのではないかと思い、スイミングクラブに通わせてくれた両親に、今になって感謝をしております。
「脳幹」という言葉もありますが、これは脳の中の一部の器官を指す言葉であり、「脳幹を鍛える」というように使われることはありません。ただ、私は体の「幹」があるように、頭脳にも「幹」があるように感じています。そして、その「頭脳の幹」を鍛え育てるのも、ゴールデンエイジ期が一番効果的なのではないかと思うのです。
学習を進めていく中では、いろいろな「力」が必要になります。「思考力」「判断力」「表現力」といった総合的な力もあるでしょう。文章を正確に読み解く「読解力」、算数の「数字感覚」や「図形感覚」もひとつの「力」と考えてよいでしょう。「記憶力」や「暗記力」も必要になりますし、学習を継続していく上では「集中力」や「持久力」も大切です。
これらの「力」の土台になるのが、「頭脳の幹」だと考えているのです。「頭脳の幹」を鍛えるためには、身体を鍛えるためのトレーニングがそうであるように、ある程度頭脳に「負荷」をかけることが必要です。「できるのが当たり前」という学習だけではなく、「がんばればできる」というレベルの学習、さらには「がんばってもなかなか解けないけれど、できるまでがんばってみる」という学習まで、お子様の状況に合わせて、適切な内容を与えていくことが必要だと思います。
体操選手がすぐにはできない「技」を何度も失敗しながら繰り返し練習し、そのうちに筋力もつき、コツも覚え、自分でできるようになるのと同じイメージです。その視点で考えると、中学入試へ向けたカリキュラムや教材は、単に「合格」のためのものだけではなく、「頭脳の幹」を鍛えるためのものであるように思えてきます。そして、この「幹」がしっかりしているお子様をそれぞれの中学校では入学してきてほしいと考えているのでしょう。中学入試という試験はそのためにあるのだと思っています。
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