『「自己肯定感」と「意志力」と「精神的成長」』
2022.09.16
中学受験において、保護者の皆様に意識していただきたい「3つのキーワード」についてご紹介させていただきます。「自己肯定感」は、小学生にとっては「自分はできる」と思える感覚です。この「自己肯定感」について、以前新聞記事を読んだことがあります。国際的な比較を行ったところ日本の若者は総じて低い結果が出たという内容でした。改めて調べてみたところ、内閣府が行った調査で「自分自身に満足している」「自分には長所がある」「うまくいくかわからないことにも積極的に取り組む」などのアンケート調査に対する回答割合が、他国と比べると「日本の若者」は低いという結果でした。
中学受験に限っていえば、「見たことがない問題にも前向きに取り組む」「難しそうに見える問題にも果敢に挑戦する」という意識は絶対に必要です。「自己肯定感」の逆は「自己否定・自己制限」という感覚になりますが、言い換えると「この問題は自分には無理そうだ」「わからないからあきらめる」ということになってしまうわけですから、合格からは遠ざかってしまうことがおわかりいただけるのではないでしょうか。
大人になってから「自己肯定感」を高めるためには、「自分自身の価値を自分で認めて、自分がかけがえのない人間であると認めるようにする」といった方法などがあるようです。一方で、小学生にとっては、まだ価値基準も定まっていないような状態ですから、親が「子ども自身の価値を認めて、かけがえのない人間であると認める」ということによって、お子様の「自己肯定感」を高めることができると考えています。逆に「人格的な否定」につながるようなしかり方をしてしまうと、「自己肯定感」は下がってしまうでしょう。また、日常的な「小さな成功体験」も「自己肯定感」を高めることにつながっていきます。そんな視点を持って、お子様に接してあげてください。
次に「意志力」に関して。困難なことに挑戦し、失敗をしてもあきらめずに継続していくためには、強い「意志力」が必要になります。小学生のお子様にとって、中学受験に向けた学習は「その学齢の生徒にとっては高いハードル」に挑戦することになりますので、学校での授業や宿題に取り組むよりも、強い意志の力が必要になってきます。この「意志力」の総量は、それぞれの個人で決まっていて、すべての行動に対して同じところから出てくるものだそうです。「学習に向かう意志力」も「習い事で使う意志力」も「友人関係で使う意志力」も、それぞれ別のものがあるのではなく、それぞれの個人が持っている「総量としての意志力」から費やされるということのようです。「学校の友人関係で悩んでいると、学習に身が入らない」というような現象を考えてみると、納得がいくのではないでしょうか。この「意志力」に関しては、いろいろな著書が出ています。私も興味を持っていくつか手に取ってみたのですが、よく例として挙げられるのが「ダイエット」や「禁煙」などでした。そういった事例を考えていただくと、おわかりいただけるかもしれません。
さらに、この「意志力」は「鍛える」ことができるものでもあるそうです。保護者の皆様に意識していただきたいのは、この「意志力を鍛える」ことができるように、お子様に接していただくという点です。いろいろな本や情報では、「意志力を鍛えるための方法」や「費やした意志力を回復させる方法」などが紹介されていますので、ご興味をお持ちの方は調べていただくとよいでしょう。私も心理学の専門家ではありませんので……。ただ「中学受験へ向けて」という点だけで考えれば、「なかなか成績が上がらない時期であってもがんばって学習を継続していく」、「つらいと思う苦手科目の学習から逃げない」、「確固たる目標を持ち、ぶれないように努力を続ける」……お子様がそんな姿勢で学習に臨めるように、保護者の皆様が応援していただくというところがポイントになるように思います。
「自己肯定感」と「意志力」については、中学受験の学習に必要なものとして書かせていただいたのですが、よく考えてみると、お子様が将来社会に出て活躍するためにより必要になるものだということに気づかれることと思います。実際に「自己肯定感を高める」「意志力を強化する」という本は、社会人向けに書かれているものがほとんどです。よく「中学受験で得られるものは『合格』だけではない」と言われますが、こういった将来の社会で活躍するための「人間としての基礎力」の土台をつくっているのかもしれないと、私は考えています。
一方で、3つ目のキーワードとして挙げさせていただいた「精神的成長」については中学受験特有のものとなります。中学受験に向かう11・12歳時点では、お子様方の精神的な「成長度合い」「発達段階」には差があるのが普通です。いつまでも「幼い」ままでいるわけではありませんが、いつの時期に大きく成長するかは、やはりお子様によって差があります。「中学受験での合格」という点だけを考えれば、11・12歳の2月時点でなるべく「成長していた」方がよいわけです。とは言っても「精神的な成長」を意図的に促していくというのはなかなか難しいのですが、そのことを意識すてお子様に接していただければと思います。
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