四つ葉cafe 福田貴一 中学受験をお考えの小学生3・4年生のお子様をお持ちの保護者の方のためのブログ

『記述問題を攻略する』

2022.09.14

2007年に改正された学校教育法で定義されている「学力の三要素」をご存じの方も多いでしょう。簡単にご紹介すると、「知識・技能」「思考力・判断力・表現力等」「主体的に学習に取り組む姿勢・態度」ということになります。「大学入試センター試験」から切り替わった「大学入学共通テスト」も、この「三要素」をもとに変更が加えられ、その一つとして、「記述」が導入されるということになりました。実際には採点の仕方などの問題で導入は延期されていますが、「記述力・表現力」が重視される時代になっているのは間違いありません。中学入試においても、すでに「記述型の出題」が増えてきています。今回は「国語の記述問題」を学習する際の留意点に関して、書かせていただきます。


本質的な表現力と、国語記述問題で正解するための「力」には、共通点がありますし、異なる点もあると考えています。「問題に正解をする力」には、ある程度テクニック的な部分もあります。入試へ向けた解法テクニックとして考えると、それは本質的な表現力からはズレてしまうように思われますが、「相手に対して正確に物事を伝える」という点においては、共通であると思います。


また、これから先の世界においては「外国語を使ったコミュニケーション」が不可欠であるため、外国語能力を高めていくことも必要だと言われています。私は、英語を「語学」として学ぶだけではなく、その文化も含めて理解をすることが重要だと、考えています。なぜなら対話をする相手を理解することがコミュニケーションにおいては重要であると考えているからです。言いたいことが単純に外国語で表現できるだけではなく、それがしっかり伝わるためには、相手に対する理解が必要です。そして、その点に関しては「外国語」でも「母国語(日本語)」でも違いはありません。「国語」という科目で学んでいる「表現力」は、「日本語を使った表現力」だけにとどまらず、より幅広い「表現力」につながるものなのです。「母国語」を使ってしっかりと表現ができる力を持っていなければ、いくら「外国語」を勉強したとしても、外国語を使ったコミュニケーションができるようになるわけはないのです。


さて、この「相手に対する理解」という点は、国語の記述問題を解くときの一つのキーワードになります。問題を解くときに意識する「相手」とは誰のことでしょう。それは、文章の筆者ではなく、設問をつくった(もしくは模範解答を用意した)出題者ということになります。「出題者はこの問題で何を答えさせようとしているのか」、それを意識することが記述問題で正解する最大のポイントです。その点を意識し始めれば「どのように考えるべきか」が自然と理解できるようになってきます。もちろん、小3・小4の生徒にとっては、なかなか高いハードルであることは言うまでもありません。一度教えたからといってすぐに「出題者の意図」が読み取れるようにはならないでしょう。ただ、「問題をつくった人(出題者)」という存在を意識するところからスタートして、トレーニングを積み重ねれば、高学年になったときにはできるようになってくるはずです。小5になってからそれを教えたとしても、やはりトレーニングが必要であることには変わりありませんので、早い段階で「出題者」を意識させることが重要になるわけです。


中学受験においては「精神的成長が重要」とよく言われます。特にこの「出題者意図の理解」という点においては、精神的成長が大きく影響してきます。設問に隠された(決して「隠して」いるわけでもないですが……)部分を読み取るのは、やはり精神的に成長していることが必要になるわけです。記述問題に限らず、出題者が用意した選択肢の「ひっかけ」を見破ることもできるようになってきます。逆から考えれば、「出題者の意図」を読み取ることを意識してトレーニングを積み重ねることで、精神的な成長が促されるのです。

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