四つ葉cafe 福田貴一 中学受験をお考えの小学生3・4年生のお子様をお持ちの保護者の方のためのブログ

『入試過去問演習』

2022.11.16

小学6年生はいま志望校の過去問演習に取り組んでいます。早稲田アカデミーでは、小6受験生に「過去問演習進行表」という冊子を配布し、しっかりと記入しながら進めるようにと指導しています。今回はそんな「入試過去問」の取り扱いについて書かせていただきます。


まず初めに、入試問題にはそれぞれの学校が「どのような生徒を求めているか」というメッセージがこめられているものです。「うちの学校で学ぶためには、こういう問題が解けるようになっている必要がある」というイメージでとらえてください。そう考えると、学校の入試問題を見ることで「お子様に合っている学校かどうか」という見方もできるわけです。もちろん入試問題だけではなく、その学校の「校風」「教育理念」などを考えることが大切であるのは間違いありませんが。


入試過去問題を解く第一の目的は「出題傾向をつかむ」という点にあります。当たり前のことですが、その学校で過去問と同じ問題が出題されることはまずないでしょう。その点においては、逆に「二度と出題されない問題」ということもできるわけです。ただ、その根底にある出題方針や出題傾向が大きく変わることはありません。学校や年によっては、大きく傾向を変えてくる学校がないわけではありませんが、その場合は「学校説明会」などで事前に説明があるケースも多くあるようです。この「出題傾向をつかむ」という目的を意識して過去問に取り組まなければ、無駄な学習をしてしまうことにもなりかねません。


学校によって出題傾向はさまざまです。たとえば、算数の入試問題で易しい計算問題から順に難しくなるように並んでいて、最後に一番応用的な問題が出題されるというスタイルの学校もあれば、大問の1番から非常に歯ごたえのある問題を出してくる学校もあります。国語では、漢字や知識を独立した大問として出題する学校もあれば、一方で出題文中に漢字・知識の問題が混ぜられている学校もあるわけです。解答スタイルにしても「記述」「客観選択式」などがあるのはご存じのとおりです。その学校がどのような問題を出してくるのかを事前にある程度わかっていて入試会場で本番に臨むのと、なにも知らないまま本番に臨むのとでは、大きく結果が異なることはお分かりいただけるでしょう。


入試過去問を学習するときに注意していただきたいポイントがあります。それは模範解答や解説の扱い方についてです。まず確認していただきたいのは、その模範解答は誰が作成したものなのかという点です。出題した学校が作成したものであれば、その解答は非常に大切なものになります。出題内容に対しての学校側の解答要求レベルを示すものになりますので、特に記述問題などは、どこまで書ききればよいのかを把握する大きな基準となるわけです。一方で、学校ではなく入試過去問題集を作成している出版社が作成をした模範解答もあります。この場合、解答自体に大きな間違いがあるわけではありませんが、学校が要求しているレベルとは異なる場合があります。学校以外で作成された模範解答は、学校が要求している解答レベルよりも高いものになっているのが一般的です。記述などは「誰が見ても正解」となるレベルの解答になっていますので、小学生はもちろんのこと、大人でも書けないようなレベルのものになっていることもあります。その模範解答を基準に採点をしてしまうと、記述部分はすべてバツになってしまい、お子様のモチベーションが下がったり、保護者の皆様の不安が募ったりということにもなってしまいかねません。


また、解説についても注意が必要です。「算数」の問題の解説なのに一部「数学」的な考え方が書かれていたり、もっと簡単に解けるのに複雑な解き方が書かれていたり、というようなケースも見かけることがあります。いずれの場合も、不安な点があればお子様を担当している講師にご相談いただくのがよいでしょう。


最後に、そして一番お伝えしたいのは、中学入試において「満点」を取らなければ合格できない学校はないという点です。合格最低点は公表されている学校もあれば、されていない学校もありますが、概ね予測はできるはずです。入試過去問演習を進める中で、自分の「合格のための設計図」をイメージすることが合格への秘訣となります。


算国理社の4科目が均等配点(各科目100点満点)で400点満点の学校があったとします。そして合格最低ラインが約6割だったとしましょう。その場合、240点を最低目標としてとれるように考えていくのが「合格のための設計図」です。非常にバランスのよい受験生であれば、全科目60点が目標点となるわけですが、そういったケースは稀だと思います。得意な科目では70点を目標とし、苦手な科目では50点が目標となることもあるわけです。そう考えると、各科目の問題への取り組み方も変わってきます。それぞれの科目で出題される問題の中で、どの問題に注力するか、どの問題を解ききるか、ときにはどの問題をあきらめるかという視点も必要になってくるわけです。

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