『2月1日!』
2023.02.01
2月1日。 首都圏の中学受験生にとっては、やはり特別な日です。東京都と神奈川県の私立中学入試が始まる日であり、首都圏では一番多くの学校の入試が行われる日でもあり、多くの受験生にとって「第一志望校」の入試が行われる日でもあります。
2020年までは、毎年「入試応援」に行っていました。1月校からも行っていたのですが、やはり2月1日の朝は特別な気持ちで、生徒たちを中学校の校門の前で待っていました。「それぞれの第一志望」として受ける生徒が多く、緊張した雰囲気であるのも一つの理由なのですが、それ以上に「1月が終わった」というのが一番大きな理由だったように思います。どの進学塾でも受験生の授業は「1月末」で最終回を迎えます。いままで一緒にがんばってきた生徒たちが、1月末で「卒塾」となるわけです。長い生徒だと6年間、早稲田アカデミーに通ってきてくれていました。それぞれの生徒が「志望校合格」という大きな目標に向けて努力を続けるそばで「伴走」していくのが我々の仕事です。一番そばで見守っていらしたのは、もちろんご両親なのですが、学習面で「横を走りながら」、激励したり、ときには叱咤したりもしながら、ともに進んできたのは我々講師です。そんな中での生徒一人ひとりの歩んできた道のりを、2月1日の入試会場の前で思い出しているのが毎年の習慣でした。
小3で入塾したばかりのとき、漢字を覚えるのが苦手で「漢字テスト」を受けたくないと言った生徒、小4の「組分けテスト」で大失敗をしてクラスが下がって泣きながら相談にきた生徒、全国統一小学生テストの決勝大会への進出が決まって大喜びをした生徒、正月特訓でもらったハチマキを校舎の授業でしめていた生徒、最後の授業のときの真剣な表情……。そんな記憶を振り返りながら、校門の前で立っていました。
新型コロナウイルス感染症の影響で「入試応援」「校門前激励」を自粛せざるを得なくなってからも、やはり2月1日の朝の想いは変わりません。早朝に目覚ましをかけて、受験生に想いを馳せています。ここまで頑張ってきた自分に自信を持って、胸をはって入試会場に向かってほしいと願っています。
この時期になると毎年思い出すことがあります。今から二十年ほど前、まだまだ私が駆け出しの講師だったころ、1月31日にある生徒のお母様からお手紙をいただきました。おおげさかもしれませんが、私が一生小学生の指導に携わっていこうと決意したお手紙です。
『先生、一年間本当にありがとうございました。5年生の終わりに先生と出会う直前まで、受験を諦めようと思っていた○○が、志望校の入試を迎えることができることに本当に感謝しています。明日の入試が終わってしまえば、素直な気持ちで御礼を申し上げることができなくなりそうな気がして、筆をとらせていただきました。入試の結果が「合格」であれば、合格したことに対して御礼を言っているようにもなりますし、不合格になってしまったら、先生のお顔を見ることもできないような気がして。ただ、ここまでこられたのは本当に先生との出会いがあったからだと感謝している気持ちを、どうしても、今日お伝えしたかったのです。ありがとうございました』
中学入試は合格か不合格かという二つの結果しか出てきません。11・12歳の子どもにとってはある意味で残酷なように思えることもあります。ただ、目標に向かって真剣に努力をしてきた経験と、そこで培った力は入試が終わったからといって消えてなくなるものではありません。合格・不合格という結果だけではなく、そこまでの過程と、そこまでの努力が未来へつながることを信じて、これからも生徒の指導にあたっていきたいと強く考えております。
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